鈴鹿市運行記録票提出指導違反処分取消等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 三重県鈴鹿市に居住し、生活保護を受けている被控訴人母が、同一世帯の二男(被控訴人子)所有の自動車について、処分行政庁から被控訴人子の通院に限り保有・利用を容認され、運転記録票の毎月提出を求められていたにもかかわらず、これを提出しなかったことなどを理由に、生活保護法62条3項に基づき生活保護停止処分を受けた。被控訴人母は同処分の取消しを、被控訴人らは国家賠償法1条1項に基づきそれぞれ55万円の損害賠償を求めた。原審は停止処分を取り消し、それぞれ10万円の国賠請求を認容したところ、鈴鹿市(控訴人)が敗訴部分を不服として控訴した。 【争点】 ①生活保護停止処分の違法性(裁量の逸脱・濫用の有無)、②国家賠償請求の成否 【判旨】 控訴棄却(国賠部分は一部変更、各5万5000円に減額)。裁判所は、生活保護の変更・停止・廃止は被保護者の権利利益に重大な影響を及ぼし得るものであり、法27条に基づく指導・指示は被保護者の自由を尊重し必要最少限度に止めなければならないことから、指導の必要の程度、違反の程度、処分による生活への影響を考量し、必要かつ相当なものであることを要するとした。本件では、被控訴人母にも通院の必要性があり、車両の利用目的を被控訴人子の通院のみに限定する指導の必要性は低かったこと、日常生活に不可欠な買物等への利用は自立した生活に資する面があったこと、走行距離等の詳細な記録を全て正確に記載させる指示の必要性も相当低かったことを認定した。他方、被控訴人母はストーマを装着し、被控訴人子は定期投薬がなければ生命に危険が生じる状況にあり、停止処分による不利益は非常に重大であったと認定し、本件停止処分は相当性を著しく欠き裁量を逸脱した違法があると判断した。国賠請求についても、処分行政庁が指示の必要性や違反の程度を問うことなく硬直的に処分したものとして違法性を認め、慰謝料各5万円、弁護士費用各5000円を認容した。