運転免許取消処分無効確認請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 福岡県公安委員会は、被控訴人が運転する普通貨物自動車が原動機付自転車に追突する交通事故を起こしたとして、平成29年12月27日付けで運転免許取消処分等を行った。処分庁は、本件事故が専ら被控訴人の不注意により発生したものとして累積点数15点と認定した。被控訴人は、事故態様に重大な事実誤認があるとして、主位的に処分の無効確認を、予備的に処分の撤回の義務付け等を求めて提訴した。原審は処分の無効を認めて被控訴人の主位的請求を認容したため、処分行政庁側(控訴人)が控訴した。 【争点】 主な争点は、①本件事故の態様に関する事実認定の当否(被害者車両が道路左端に一旦停止した後に第2車線に向けて進行したところに被控訴人車両が衝突したのか、それとも被控訴人が前方の被害者車両に追突したのか)、②本件各処分を無効とすべきか否か、③被控訴人が意見聴取の機会に弁明しなかったことをもって帰責性を認めるべきか否かである。 【判旨】 控訴棄却。福岡高裁は原判決を相当とし、本件各処分は無効であると判断した。 事故態様について、防犯カメラ映像から、被害者車両はウインカーを点灯させ減速しながら北進し、その約5〜6秒後に被控訴人車両が時速60kmを超える程度で北進したことが認められ、被控訴人の供述と整合すると認定した。衝突地点や被害者車両の角度(約30度傾斜)も被控訴人の供述を裏付けるものであった。目撃者の証言も信用でき、被害者車両が道路左端で停止していた事実が認められた。 控訴人が提出した鑑定書については、防犯カメラ映像の解析に限界がある中で小数点以下の時間を算出して車両の動きを認定することは困難であり、前提となる認定事実に看過できない幅があるとして証明力は高くないと判断した。 処分の無効性について、本件各処分はその処分要件を欠くものであり、被控訴人が意見聴取の機会に弁明しなかったことについても、防犯カメラ映像等から被害者にも過失があったと認識し得たこと、被控訴人が重大な事故の加害者として強い自責の念を抱いていたと推認されること等から、帰責性は認められないとした。