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【事案の概要】 被告(甲府市)に勤務していた職員C(当時42歳)の相続人である原告ら(父母)が、Cは被告の安全配慮義務違反により長時間勤務を強いられた結果、精神障害を発症して令和2年1月17日に市役所庁舎6階から投身自殺したと主張し、国家賠償法1条に基づき、各4003万5000円の損害賠償を求めた事案である。Cは平成31年4月に総務部行政管理室事務効率課組織係に配属され、正規職員・非常勤職員の定員管理業務等を担当していたが、繁忙期の時間外勤務時間は月200時間超に達し、48日間・40日間の連続勤務もあった。被告はCの勤務時間をパソコンログ等の客観的方法で把握せず、自己申告による超過勤務命令簿のみで管理していた。 【争点】 ①被告の安全配慮義務違反の有無、②義務違反とCの自殺との因果関係、③損害額、④過失相殺の可否、⑤損益相殺の範囲。被告は、Cの業務量は前任者1名で処理可能な量であり量的・質的に過重ではなかったこと、在庁時間中に私的なネットサーフィンや雑談があったこと、Cが退庁時間を虚偽申告していたこと等を主張した。 【判旨】 裁判所は、原告らの請求を各2892万8768円の限度で認容した。Cの時間外勤務時間は繁忙期に月107〜209時間に達し、48日間・40日間の連続勤務があったことから、業務負担は量的に過重であったと認定した。私的なネット閲覧や外出は1日数分〜十数分程度の僅かな休憩に過ぎず、在庁時間の大半は業務又はこれに関連する活動に充てられていたと判断した。D課長は、Cの申告時間と実際の在庁時間に乖離があることを認識しながら、パソコン稼働時間等の客観的記録を確認せず口頭確認にとどめたことは、安全配慮義務違反に当たるとした。因果関係については、公務災害認定もされており、業務の過重性により精神疾患を発症し自殺に至ったと認めた。過失相殺については、Cが退庁時間を虚偽申告した点も含め、業務負担が過重となった要因は専ら被告にあるとして否定した。損害額は逸失利益5606万円(月45時間の時間外手当を基礎収入に加算、生活費控除50%)、慰謝料2200万円等と算定し、遺族補償一時金等を控除した。