国家賠償請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 死刑確定者である原告が、東京拘置所長が平成19年10月11日から令和4年3月1日までの約14年4か月間、必要性がないにもかかわらず、監視カメラが設置された居室(テレビ室)に漫然と収容し続けたことが違法な公権力の行使に当たり、プライバシー権が侵害されたと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料1720万円及び弁護士費用172万円の合計1892万円の損害賠償を求めた事案である。原告は、4名の被害者に係る殺人等の罪により死刑判決を受け、平成25年3月に死刑が確定した者である。 【争点】 東京拘置所長が原告をテレビ室に収容し、これを継続したことについて、国賠法上の違法性が認められるか。 【判旨】 裁判所は、テレビ室への収容は24時間体制の監視であり、排泄時に陰部が映し出されることも回避できないことから、プライバシー制約の程度は極めて強いとした。その上で、刑事施設の長の裁量は認められるものの、その判断が重要な事実の基礎を欠くか社会通念に照らし著しく妥当性を欠く場合には違法となると判示した。 未決拘禁期間及び死刑確定から5年間(平成30年3月末まで)については、死刑判決を受けた者の精神状態の不安定さや過去の自殺事案の存在等に照らし、テレビ室収容の必要性が認められ、違法とはいえないとした。しかし、死刑確定から5年が経過した平成30年4月以降については、原告が一貫して特異な動静を示さず、面接でも予期せぬ行動を仄めかす言動がなかったこと、処遇担当者自身が縫い針を貸与日時の記録もなく複数回貸与しており自殺の危険性を高く評価していなかったことなどから、収容継続の必要性は失われていたと認定し、約4年間の違法な収容継続に対する慰謝料50万円及び弁護士費用5万円の合計55万円の支払を命じた。