a原発用地埋立免許伸長許可損害賠償請求事件(住民訴訟)
判決データ
AI概要
【事案の概要】 中国電力は、山口県上関町に原子力発電所を新設するため、公有水面埋立法に基づく埋立免許を取得したが、福島第一原発事故の影響で工事を中断し、繰り返し竣功期間の伸長許可を申請していた。令和4年10月、中国電力が再度伸長許可を申請したところ、山口県知事(A知事)は補足説明を求めた上で伸長を許可し、併せて原発本体の着工時期の見通しがつくまで埋立工事を施行しないよう要請した。山口県の住民である原告らは、前回許可及び本件許可はいずれも公有水面埋立法上の要件を欠く違法なものであり、これらに伴う補足説明の求め・許可・要請に係る職員給与の支出等(合計3084円)が違法な公金支出であるとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、A知事に対する損害賠償請求を求める住民訴訟を提起した。 【争点】 ①切手・用紙等の消費が住民訴訟の対象となる財務会計行為に該当するか、②職員給与の支出が違法であるか。 【判旨】 裁判所は、まず本案前の争点として、切手の消費及び用紙・インクの消費については、一般行政上の行為に伴って費消されたにすぎず、財産的価値に着目しその維持・保全を図る財務会計上の行為とは認められないとして、これらに係る訴えを却下した。他方、職員給与の支出は「公金の支出」に該当し財務会計行為として認めた。本案については、行政手続法上、申請を受けた行政庁は審査・応答義務を負うところ、本件申請が不存在とはいえない以上、A知事には審査・応答を行う義務があり、補足説明の求めや許可に係る業務は必要かつ相当な行為であったと判断した。また、職員給与は勤務時間に対する報酬として支給されるものであり、従事した業務の適否によって支給の有無が左右されるものではないから、仮に許可処分が違法であったとしても給与支出が違法となることはないとして、原告らの請求をいずれも棄却した。