強盗致死、有印私文書偽造・同行使、詐欺、電磁的公正証書原本不実記録・同供用被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、知人Aと共謀するなどして、以下の複数の犯行に及んだ事案である。①生活保護の受給申請に際し、Aから合計約41万円の振込入金を受けていた事実を福祉事務所に申告せず、本来より多額の生活保護費約19万円を不正に受給した詐欺、②長女Bと共謀し、領収証の金額等を改変して偽造し区役所職員に提出した有印私文書偽造・同行使(2件)、③Aと共謀し、虚偽の住民異動届を提出して住民基本台帳に不実の記録をさせた電磁的公正証書原本不実記録・同供用、④Aと共謀し、Aの実姉Eに対して催涙スプレーを噴射し前頚部を圧迫するなどの暴行を加えて殺害した上、通帳・印鑑等を強取した強盗致死(ただし被告人には殺意なし)、⑤Aと共謀し、Eから強取した通帳・印鑑を利用して銀行2行でE名義の払戻請求書を偽造し、合計約103万円をだまし取った有印私文書偽造・同行使、詐欺である。 【争点】 主な争点は、(1)被告人がAからの振込入金を収入として申告しなかったことが詐欺に当たるか、(2)強盗致死等(水巻事件)における被告人とAの共謀の有無・内容である。争点(1)について被告人は、入金はAからの預り金にすぎず自ら費消したことはないと弁解した。争点(2)について被告人は、Aに長年脅されていたため仕方なく関与させられたにすぎないと主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、争点(1)について、被告人がAに生活費としての入金を督促するメッセージを送信していた事実等から、入金の実態は被告人世帯の生活の財源であったと認定し、これを申告しなかったことは詐欺罪の欺罔行為に当たると判断した。被告人のAに脅されていたとの弁解は、その内容が荒唐無稽である上、被告人がAを口汚くののしるメッセージを送っていた事実と整合せず信用できないとした。争点(2)については、被告人が犯行用具の準備や車での送迎等の重要な役割を果たし、強盗で得た約100万円のうち少なくとも91万円を受領して子らにも分配していたことから、被告人とAの間に強盗等の共謀が成立していたと認定した。量刑については、各犯行はAが計画・実行したもので被告人は殺害行為まで想定していなかったが、犯行実現への精神的・物理的影響力は大きく、不合理な弁解に終始してAに責任を押し付けるなど真摯な反省がないことも考慮し、求刑懲役27年に対し、懲役20年を言い渡した。