AI概要
【事案の概要】 市の上下水道・環境部水道施設課浄水係の係長であった被告人A1が、市水道事業が発注した浄水施設等運転管理業務委託に関し、受託業者に対して被告人A2が経営する会社を除草工事の下請業者として推奨し、その見返りとして、約1年半にわたり第三者を介して家具、釣り具、ゲーム機等合計169点(販売価格合計約122万円相当)の供与を受けた収賄事件と、これを供与した被告人A2の贈賄事件である。被告人A1は「欲しいものリスト」と題するPDFファイルを仲介者に送信して供与物品を自ら選定・要求しており、手口は巧妙かつ利欲的であった。 【争点】 本件の争点は、被告人A1が受託業者に対して下請業者を推奨した行為(本件推奨行為)が、被告人A1の職務行為又はそれに密接に関連する行為として行われたか否かである。弁護人らは、下請業者を紹介する行為は法令上の職務内容に含まれず、市は下請業者の選定に関心を有していなかったと主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、浄水係が浄水施設の運営及び維持管理に関する事務を所掌し、委託先に対する監督・指導・助言がその職務に含まれることは明らかであるとした。除草工事も委託内容に含まれている以上、不適切な下請業者が使用されれば業務に支障が生じかねないことから、下請業者の選定についても指導・助言すべき事項に含まれると判断した。また、業務委託契約上も市に下請業者を把握する権限が明示されていること、受託業者が実際に下請先を浄水係に報告していたこと等を根拠に、本件推奨行為は被告人A1の職務行為であると認定し、収賄罪及び贈賄罪の成立を認めた。被告人A1を懲役2年・執行猶予4年(求刑:懲役2年)、被告人A2を懲役1年・執行猶予3年(求刑:懲役1年)に処した。