難民不認定処分取消等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 チュニジア国籍の外国人男性である原告は、同性愛者であることを理由にチュニジアで家族から暴力を受け、警察に保護を求めたところ、同性愛者であると申告した途端に誹謗中傷や投獄の示唆を受けて保護を得られなかったことから、帰国すれば迫害を受けるおそれがあるとして難民認定申請をした。しかし、大阪入管局長から難民不認定処分を受け、審査請求も法務大臣により棄却された。原告が本件不認定処分等の取消しを求めて提訴したところ、原審は原告を難民と認め不認定処分を取り消したため、被告(国)が控訴した。 【争点】 原告が難民条約上の「難民」に該当するか、すなわち、チュニジアに帰国した場合に同性愛者であることを理由とする迫害を受けるおそれがあるか。具体的には、チュニジアにおけるLGBTの人々の客観的状況に関する出身国情報の信用性、同性愛者であることのみを理由とした身柄拘束・訴追の現実的おそれの有無、チュニジア政府による保護の実効性が争われた。 【判旨】 控訴棄却。大阪高裁は原審の判断を維持し、原告は難民に該当すると認めた。まず、出身国情報の信用性について、被告は各種報告書の抽象性やNGO由来の偏りを指摘したが、裁判所は、異なる機関が作成した複数の報告が、チュニジアの同性間性交処罰規定(3年以下の懲役)や倫理侵害処罰規定に基づくLGBTの身柄拘束・訴追の実態について概ね共通する内容を含んでいることから、信用性を肯定した。次に、被告はLGBT推定人口に比して訴追件数が少ないと主張したが、裁判所は、それはLGBTの人々が社会的非難や訴追をおそれて性的指向を秘匿せざるを得ない状況の帰結であるとし、処罰規定が現に効力を有し運用されていること自体をもって迫害の現実的おそれを認めた。さらに、チュニジア政府の保護能力についても、警察官によるLGBTへの暴力増加の報告や、原告自身が警察で保護を拒否された経験を踏まえ、政府が非国家主体による迫害を放置していると評価し、被告の主張をいずれも退けた。