損害賠償請求事件(住民訴訟)
判決データ
AI概要
【事案の概要】 山口県a郡b町の住民である原告らが、町立病院の歯科医師A(本件医師)が、診療過程で発生した町有財産である歯科金属スクラップを無断で売却しその対価を領得したこと(第1事件)、及び町の病院事業管理者Bがスクラップを適正に保管する義務を怠ったこと(第2事件)により町に損害を与えたとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、被告(管理者B)に対し、A及びBに連帯して3000万円及び遅延損害金の支払を請求するよう求めた住民訴訟である。原告らは、平成13年4月から令和3年10月までに約30kgのスクラップが不正に処分され、その価額は3000万円を下らないと主張した。 【争点】 主たる争点は、本件監査請求が監査請求期間(地方自治法242条2項の1年間)を徒過しているか、及び徒過について「正当な理由」(同項ただし書)があるかという本案前の問題である。原告らは、起算点は町長が損害賠償請求権を行使しない旨を表明した令和5年5月17日又は本件医師が懲戒処分を受けた令和4年12月27日であると主張した。被告は、病院事業局がスクラップを回収した令和3年11月5日が起算点であり、令和5年11月22日の監査請求は期間を徒過していると主張した。 【判旨】 裁判所は、本件訴えをいずれも却下した。まず、怠る事実を対象とする監査請求であっても、その発生原因たる財務会計行為があった日又は終わった日を基準に監査請求期間の制限に服するとの判例法理を適用し、起算点は本件横領が終わった令和3年11月5日であると認定した。次に、「正当な理由」の有無について、原告らは遅くとも令和4年9月9日(全国紙がスクラップ不足を報じた日)までには監査請求をするに足りる程度の認識を得ることができたと判断した上で、そこから1年2か月余り経過後の監査請求は「相当な期間内」とはいえないとした。監査委員が本件監査請求を棄却していた事実も、この結論を左右しないとして、適法な監査請求を経ていない不適法な訴えとして却下した。