殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 暴力団甲会の二次団体である乙組の組員であった被告人が、乙組組長Aの指示の下、対立抗争関係にあった丙会の幹部組員Dに対する銃撃殺人について、共謀共同正犯として起訴された事案である。平成18年6月頃、Aは配下組員を集めて丙会幹部組員の襲撃殺害の意思を伝え、被告人もこれに挙手で応じた。その後、被告人は丙会関係者の車両情報から氏名・住所等を割り出す調査活動に従事し、さらに犯行直前の平成20年9月上旬頃には、実行役Bが犯行現場に赴くための車両を知人に依頼して手配した。同月15日、Bは福岡県大牟田市内のマンション前路上でDをけん銃で銃撃し殺害した。 【争点】 本件の争点は、被告人に殺人の共謀共同正犯が成立するかである。被告人は、丙会幹部を襲撃する計画の存在を知らなかった、車両の登録事項等証明書の取得は不審車両リスト作成のためと説明されただけであった、Bのための車両手配もBが働くために必要な足として依頼されたものと認識していたと主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人に共謀共同正犯の成立を認め、懲役13年(求刑懲役15年)を言い渡した。その理由として、①本件集会でAが襲撃の意思を伝えた際、当時の緊迫した抗争状況に照らせば、被告人がその趣旨を理解できなかったとは考えられないこと、②被告人は乙組内でAの側近的立ち位置にあり、Aが実行役のB・Cと秘密裏に落ち合った密会にも同席していたこと、③車両手配の際に知人に口止めをしていたことは、車両が犯行に使用されることを認識していたことを示すことを挙げた。一方、検察官が主張した本件カレンの処分や本件ムーブの手配と犯行との関連性、組員Kの案内指示に関する供述等については、推認力が不十分として採用しなかった。量刑については、本件が暴力団特有の反社会的動機に基づく凶悪な犯行であり、白昼一般市民も居住するマンション前で敢行された点で殺人の中でも特に重い部類に属するとしつつ、被告人の関与は計画主導者Aや実行犯Bに比べ劣り、犯行当日の見張り役Cと比較しても間接的であるが、相当期間にわたり組織の一員として要所で重要な役割を果たしたこと、不合理な弁解に終始し事案解明に貢献しなかったことから、懲役12年が確定しているCよりも重い刑が相当と判断した。