損害賠償請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 上告人石川県憲法を守る会が、金沢市庁舎前広場において「憲法施行70周年集会」を開催するため、金沢市庁舎等管理規則6条1項所定の許可を申請したところ、金沢市長から不許可処分を受けたことについて、上告人守る会及びその関係者が、被上告人(金沢市)に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案である。本件広場は市庁舎のすぐ北側に位置する南北約60m・東西約50mの平らな広場で、壁や塀で囲われておらず、道路に接している。同規則5条12号(本件規定)は、特定の政策・主義・意見に賛成又は反対する目的での示威行為を禁止行為として定めていた。 【争点】 本件広場における集会に係る行為に対し本件規定を適用することが、憲法21条1項の保障する集会の自由を侵害するか。 【判旨】 上告棄却。本件規定は、庁舎等において所定の目的による示威行為であって管理上の支障が生ずるものを禁止する趣旨であり、ここにいう管理上の支障とは、庁舎等で特定の政策等を訴える示威行為が行われることにより、外見上の政治的中立性が損なわれ公務の円滑な遂行が確保されなくなるとの支障をいうと解すべきである。普通地方公共団体の庁舎は主に公務の用に供するための施設であり、道路や公園等とは異なる。庁舎等で示威行為が行われると、市長が庁舎等をそうした利用に供したという外形を通じて政治的中立性に疑義が生じ、行政への住民の信頼が損なわれ得る。本件規定の目的は合理的かつ正当であり、禁止されるのは庁舎等における所定の示威行為に限定され、他の場所での集会まで妨げるものではないから、集会の自由に対する制限の程度は限定的である。本件広場が集会等の利用に適しており現に利用されている実情があるとしても、本庁舎に係る建物と一体的に管理されている以上、上記判断は左右されない。したがって、本件規定の適用は憲法21条1項に違反しない。 【宇賀克也裁判官の反対意見】 本件広場は公共用物であり公の施設に該当するとして、泉佐野市民会館事件最高裁判決の基準によるべきとした。本件集会は祝日に約300人で30分程度行うもので物理的支障はなく、不許可理由は被上告人の中立性への抽象的疑念にすぎず「正当な理由」に当たらないとして、原判決は破棄すべきであるとした。予備的にも、パブリック・フォーラム論に基づき、本件規定の適用は憲法21条1項に違反すると述べた。