AI概要
【事案の概要】 被告人は、独立行政法人福祉医療機構(WAM)の新型コロナウイルス対応支援資金による無担保無保証融資制度を悪用した詐欺事件である。被告人は、訪問介護施設等を運営する有限会社Aの代表取締役である被害者Bに対し、自らがWAM又はその関係機関の審議官であると偽り、本件融資の決定権限を有しているかのように装った。被告人は、共犯者である現役市議会議員Xと共謀の上、令和2年7月から同年12月にかけて複数回にわたり、被害者に対し、被告人らを通じて融資を申し込めば特別に満額の融資を受けられること、融資額の約半額をWAM等に戻して政治的資金として環流させれば返済ができなくても民事責任を追及されないことなどの虚偽の説明を繰り返した。被害者はこれを信じ、被告人らを通じて融資を申し込んだ結果、WAMからA名義の口座に1億2000万円が振り込まれた。被告人らは、そのうち合計5940万円を別の口座に振り込ませてだまし取った。Aは十分な返済計画もないまま巨額の債務を負うこととなった。 【判旨(量刑)】 裁判所は、本件について以下のとおり判断した。本件はコロナ禍で福祉施設等を支援するための融資制度につけ込んだ利欲性の高い卑劣な犯行である。欺罔行為の態様は、綿密な謀議に基づき、被告人がWAM等の審議官を名乗り、正規の手続とは別の特別なルートの存在や政治資金としての環流による返済免除を繰り返し説明するとともに、現役市議会議員である共犯者を同席させて信ぴょう性を高めるなど、計画的で巧妙かつ悪質なものである。被害額は5940万円と高額であり、結果も重大である。被告人は共犯者を引き込み、自ら審議官を装って欺罔行為を行うなど主要な役割を果たしており、実刑も十分に考えられるとした。もっとも、被告人が起訴されていない関連会社分も含め全額の被害弁償を行い、被害者から宥恕を得ていること、犯行を認めて更生の意欲を示していることなどの酌むべき事情を考慮し、懲役3年・執行猶予5年(求刑懲役4年)を言い渡した。