地方公務員法違反、加重収賄
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、徳島県内のA役場住民課に所属する会計年度任用職員として、捜査機関からの身上照会に係る捜査関係事項照会書等の郵便物を開封し、担当者別に振り分ける業務に従事していた。被告人は、A議会議員であった共犯者Bと共謀の上、以下の犯行に及んだ。 第1に、令和3年9月29日頃、大麻の栽培等を行っていたグループの関係者Cに対し、A役場で勤務中に了知した大阪府警察本部による身上照会の事実を電話で教示して職務上の秘密を漏らし、さらに同年10月2日、Cから当該不正行為に対する謝礼として現金5万円の供与を受けて賄賂を収受した。第2に、令和3年12月10日頃及び令和4年1月6日頃にも、同様にCに対して大阪府大淀警察署及び徳島県鳴門警察署による身上照会の事実をそれぞれ電話で教示し、職務上の秘密を漏らした。罪名は地方公務員法違反(守秘義務違反)及び加重収賄である。 【判旨(量刑)】 被告人を懲役1年6月(執行猶予3年)に処し、賄賂である現金5万円を追徴した(求刑:懲役1年6月、追徴)。 裁判所は、被告人が漏洩した捜査機関による身上照会の事実は、当該関係者が捜査対象であることを推知させるものであり、その漏洩により罪証隠滅やプライバシー侵害といった重大な害悪を生じさせるものであると指摘した。現に捜査機関は大麻の栽培・密売拠点の把握や証拠収集が困難になるなど捜査への悪影響が大きく、地方公共団体が管理する住民情報の適正な取扱いに対する信頼を失わせる悪質な犯行であると評価した。被告人は交際相手である共犯者Bから情報漏洩により報酬が得られると聞き、生活費や遊興費が浮くとの軽い気持ちから漏洩を承諾したもので、動機に酌量の余地はなく、自己の職責を軽視する態度は甚だしいとした。 一方、被告人にはこれまで前科や犯罪歴がないこと、罪を認めて反省の態度を示していること、父親が監督する旨述べていることなどの事情を考慮し、刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。