AI概要
【事案の概要】 中古住宅の買取再販事業を営む原告は、築年数の経過した物件を個人等から仕入れ、リフォームを施して付加価値を高めた上で顧客に販売するビジネスモデルを採用していた。原告は年間3000件超の物件を全国で取引しており、物件の約9割は戸建住宅、約6〜7割は空き家であった。原告は、物件の販売時における土地・建物の価格按分について、過去に仕入れた戸建住宅の固定資産税評価額に基づく建物割合の平均値(約34%)に消費税率8%を乗じた2.7%を売買代金総額に乗じる簡易な方法(本件原告算出方法)で消費税額を算出していた。この方法による結果、建物の対価の額が著しく低く設定され、原告は本件各課税期間(平成28年3月期〜平成31年3月期)において合計約12億円もの消費税の還付申告を行っていた。処分行政庁は、原告の按分方法は消費税法施行令45条3項の「合理的に区分されていないとき」に該当するとして、原告自身の物件管理システム上の売上原価データに基づき土地・建物の売上原価比で按分する方法により更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。原告がこれらの処分の取消しを求めた事案である。 【争点】 ①土地・建物の一括譲渡において売買契約書上で代金が区分されている場合にも消費税法施行令45条3項を適用できるか、②原告の按分方法が同項の「合理的に区分されていないとき」に該当するか、③処分行政庁が採用した按分方法(本件被告算出方法)が同項所定の方法として適法か。 【判旨】 裁判所は、3つの争点すべてについて被告(国)の主張を認め、原告の請求を棄却した。争点①について、一括譲渡の場合には当事者間の対価の合意があっても、非課税資産の金額を時価より高く設定し課税資産の金額を低く設定するといった恣意的な区分がなされ得るため、消費税法28条5項の委任に基づく施行令45条3項の適用が排除されるものではないと判示した。争点②について、原告のリフォームは建物の交換価値を大きく高めるものであるにもかかわらず、本件原告算出方法ではリフォームによる価値増加が建物代金額に反映されず、土地価格が短期間で急騰し建物が原価割れとなる不自然な結果を生じていること、営業利益が年々上昇しながら多額の消費税還付を受けていたことなどから、課税資産の対価の額が著しく過少に区分されており不合理であると認定した。争点③について、本件被告算出方法は、仕入時の固定資産税評価額等に基づく支払代金額にリフォーム費用を加算して時価比率を導くものであり、リフォームによる交換価値の増加を適切に反映するものとして合理性があると判断した。