AI概要
【事案の概要】 原告(宗教法人。旧称「世界基督教統一神霊協会」、いわゆる旧統一教会)が、被告TBSテレビの制作・放送する情報番組において、コメンテーターである被告弁護士が原告の名誉を毀損する発言をしたと主張して、被告らに対し、共同不法行為に基づく損害賠償金2200万円及び遅延損害金の連帯支払を求めるとともに、名誉回復措置請求権に基づき、被告TBSテレビに対し謝罪放送を、被告弁護士に対し謝罪広告の掲載を、それぞれ求めた事案である。 問題となった発言は、令和4年9月1日の放送において、安倍元首相銃撃事件を契機とした自民党と原告との関係性に関する話題の中で、被告弁護士が「この教団がやっている外形的な犯罪行為等」と述べた部分である。原告は、この発言が原告が犯罪行為を現に行っていると視聴者に認識させるものであり、社会的評価を低下させると主張した。 【争点】 主な争点は、本件発言の違法性の有無であり、特に「外形的な犯罪行為等」という表現(本件表現)が事実の摘示に当たるか、意見ないし論評に当たるかが争われた。被告らは、本件発言は原告と自民党議員との関係性の調査が信教の自由に反しないとの意見・論評であり、公共の利害に関する事実に係り公益目的であって違法性がないと主張した。原告は、本件表現は原告が犯罪行為を行っている事実の摘示であり、その真実性が立証されていないから違法であると主張した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、本件発言が原告の社会的評価を低下させるものであること自体は認めつつも、以下の理由から違法性を否定した。 まず、本件発言の文脈について、信教の自由を侵害しない形での調査の可否について司会者からコメントを求められたのに応じたものであると認定した。その上で、本件表現中の「外形的な犯罪行為等」は、直前の「数々の消費者被害を生んだカルト団体」という発言部分と表現を変えつつ同旨の内容を繰り返す中で口にされたものであり、実質的には「数々の消費者被害」を言い換えたものと認定した。 そして、本件発言は、原告が「数々の消費者被害を生んだカルト団体」であることを前提事実とした上で、外形的行為に着目した調査は信教の自由を侵害しないとする意見・論評を述べたものと認定した。前提事実については、原告の構成員が教団業務に関連して違法な献金や物品購入の勧誘行為を行っていたことを認定した裁判例が複数存在することから、真実であると認めた。本件表現部分だけを切り出せば不適切な面があったことは否定し難いとしつつも、発言全体の趣旨に照らし、人身攻撃に及ぶなど意見・論評としての域を逸脱するものとは認められないとして、違法性を否定した。