AI概要
【事案の概要】 北海道の職員であった原告(女性)が、同性パートナーであるAについて、給与条例上の「届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」として扶養手当及び寒冷地手当に係る届出を行い、また地方公務員等共済組合法上の被扶養者に係る届出を行ったところ、被告北海道(知事)及び被告地方職員共済組合がいずれもAが原告と同性であることを理由に認定を不可とした。原告は、これらの認定不可が違法であるとして、国家賠償法1条1項に基づき、被告北海道に対して慰謝料・扶養手当・寒冷地手当差額等合計約233万円、被告共済組合に対して慰謝料・国民健康保険料等合計約234万円の損害賠償を求めた事案である。原告とAは、平成30年に交際を開始し、札幌市パートナーシップ宣誓制度の宣誓を行い、同居を開始してパートナーシップ契約を締結し、共同名義でマンションを購入するなど、実質的な共同生活を営んでいた。 【争点】 本件各規定の「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に同性パートナーが含まれるか、被告らが同性であることを理由に扶養親族又は被扶養者の認定を不可としたことに国賠法1条1項の違法及び過失があるか。原告は、性的指向による差別的取扱いは憲法14条1項の平等原則に反し、扶養手当等の趣旨は同性間でも妥当するから、同性パートナーも含まれると解釈すべき義務があったと主張した。被告らは、本件各規定は民法上の婚姻概念を前提としており、現行民法上、同性間の婚姻は想定されていないから同性間の関係は含まれないと反論した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、本件各規定は民法上の婚姻に関する概念を前提として定められており、法律上の婚姻関係と同視し得る関係を有しながら婚姻届を出していない者を配偶者と同視するもので、婚姻届を出せる関係であることが前提になっていると解するのが自然であるとした。現行民法の定める婚姻は異性間に限られると解されるところ、給与条例や共済組合法に同性間の関係を含むとする明確な規定はなく、同性間の関係が含まれないと解するのが現行婚姻法秩序と整合する一般的な解釈であるとした。もっとも、同性間の関係に対する法的保障について社会的理解が広がり、一部自治体で柔軟な解釈・運用を試みる例があることは認めつつも、公的財源による給付であることや議論の状況に鑑み、個別の公務員に同性間の関係を含むと解釈すべき職務上の注意義務を課すことはできないと判断し、国賠法上の違法は認められないとした。