AI概要
【事案の概要】 学校法人明浄学院に対する21億円の業務上横領事件(プレサンスコーポレーション事件)の被疑者として逮捕・勾留・起訴されたものの、第一審で無罪判決が確定した原告が、検察官の違法な逮捕・勾留・起訴及び違法な取調べにより損害を被ったとして、国に対し国家賠償法1条1項に基づき7億7000万円の損害賠償を求める訴訟(基本事件)において、原告が、検察官による共犯者C・D及び原告本人に対する取調べの録音録画記録媒体の提出を求めた文書提出命令の申立てである。原告は、取調べにおいて検事が恫喝・机を叩く等の行為や利益誘導を行い、共犯者の供述の信用性に影響を与えたと主張していた。 【争点】 (1) 証明すべき事実の特定の十分性、(2) 各録音録画記録媒体の証拠調べの必要性、(3) C録音録画の民訴法220条3号後段(法律関係文書)該当性、(4) 刑訴法47条に基づく保管検察官の裁量権の逸脱・濫用の有無。 【判旨】 裁判所は、C録音録画の一部(令和元年12月6日〜9日及び12日の特定時間帯)について提出を命じ、その余の申立てを却下した。まず、証明すべき事実の特定について、基本事件の争点との関係は容易に理解でき、具体性に欠けるとは認められないとした。証拠調べの必要性について、Cに対する取調べでは検事の口調や動作といった非言語的要素がCの供述態度に影響を及ぼしかねないものであり、録音録画が最も適切な証拠で人証等による代替立証も困難として必要性を認めた。一方、D録音録画及び原告録音録画については、反訳書等により発言内容が明らかになっており、非言語的要素の立証まで必要とは認められないとして却下した。法律関係文書該当性について、C録音録画は刑訴法301条の2に基づき作成が義務付けられたもので、公訴提起の重要な判断資料であったことから、民訴法220条3号後段の法律関係文書に該当すると認定した。公判不提出部分については、取調べの必要性が高い反面、Cが別件訴訟の和解で証拠採用に反対しないことを確認しており、開示による弊害は認められないとして、提出拒否は保管検察官の裁量権の逸脱・濫用に当たるとした。