殺人被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人が、自宅において、妻(当時38歳)、長男(当時9歳)及び長女(当時6歳)の3名を、頚部圧迫又は絞頚により窒息死させて殺害したという殺人の事案である。被告人は、自身が犯人であることを一貫して否認している。第1審は死刑を言い渡し、控訴審もこれを維持したため、被告人側が上告した。弁護人は、判例違反、憲法違反、法令違反、事実誤認及び量刑不当を主張して争った。 【争点】 上告審における争点は、弁護人が主張する判例違反及び憲法違反が刑訴法405条の上告理由に当たるか、また、刑訴法411条による職権破棄の事由があるかであった。弁護人は判例違反を主張したが、最高裁は事案を異にする判例を引用するものであって本件に適切でないと判断した。憲法違反の主張を含むその余の主張についても、実質は単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張にすぎず、適法な上告理由に当たらないとされた。 【判旨(量刑)】 最高裁第三小法廷は、裁判官全員一致の意見で上告を棄却し、死刑判決を是認した。その理由として、まず3名の生命を奪った結果の重大性を指摘した。殺害態様については、数分間にわたり頚部を圧迫し又はひも状の物で絞め続けるという、確定的で強固な殺意に基づくものであり、そのような行為を3回も繰り返した点で生命を軽視する態度が甚だしいとした。犯行の計画性は認められず、動機も不明であるが、年少の長男及び長女を殺害した動機として酌量できるような事情は見当たらないとした。妻については、日常的に厳しく叱責されるなどしていた被告人が夫婦関係のあつれきの中で抱いた心情自体は理解できなくはないとしつつも、殺害を決意した経緯としてしんしゃくするにも限度があるとした。さらに、遺族らの厳しい処罰感情、被告人が自身の罪と向き合う姿勢を示さず反省悔悟の情がうかがえないことも指摘し、前科前歴がないことなど被告人に有利な事情を十分考慮しても、死刑の科刑はやむを得ないと結論づけた。