憲法53条違憲国家賠償等請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和3行コ91
- 事件名
- 憲法53条違憲国家賠償等請求控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2022年2月21日
- 裁判種別・結果
- 棄却
- 裁判官
- 相澤哲、伊藤一夫、髙木勝己
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 平成29年6月22日、衆議院及び参議院の各総議員の4分の1以上の議員が、憲法53条後段及び国会法3条に基づき、内閣に臨時会の召集の決定を要求した。安倍内閣は同日要求書を受理したが、臨時会の召集を決定したのは同年9月22日であり、現実に臨時会が召集されたのは同月28日で、同日衆議院が解散された。本件召集要求をした参議院議員の一人である控訴人が、安倍内閣が92日間にわたり臨時会の召集を決定しなかったこと(本件不作為等)は憲法53条後段に違反するとして、主位的に内閣が20日以内に臨時会を召集できるよう召集決定をする義務を負うことの確認、予備的に控訴人が20日以内に臨時会の召集を受けられる地位の確認を求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき慰謝料1万円の支払を求めた事案の控訴審である。原審は確認訴訟部分を不適法として却下し、国賠請求部分を棄却した。 【争点】 (1) 憲法53条後段に基づく臨時会召集決定要求権が個々の国会議員の主観的な権利又は利益といえるか(確認訴訟の適法性)。控訴人は、同権利が職業活動の自由(憲法22条1項)、表現の自由(同21条1項)、参政権(同15条1項)により保障された個々の国会議員の主観的権利であると主張した。 (2) 仮に国の機関としての権限であるとしても、最高裁令和2年判決(出席停止懲罰事件)の趣旨に照らし、法律上の争訟として司法審査の対象となるか。 (3) 本件不作為等について国家賠償法上の違法が認められるか。 【判旨】 控訴棄却。東京高裁は原判決を維持し、以下のとおり判断した。 争点(1)について、召集された国会における国会議員としての活動が職業活動の自由、表現の自由、参政権等により保障されているか否かという問題と、個々の国会議員が主観的な権利又は利益として臨時会召集決定要求権を有しているか否かという問題とは別問題であるとした。国会議員の活動が憲法上保障されているということから、直ちに個々の国会議員が主観的権利として臨時会召集決定要求権を有しているということはできないと判示した。 争点(2)について、個人が提起した訴訟であっても、国又は地方公共団体の機関として有する権限の侵害を理由としてその保護救済を求める場合は、法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的とするか、機関相互間の権限の争いを内容とするものであって、法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるものではないとした。最高裁令和2年判決は市議会議員個人の法律上の権利利益の保護救済を求めた事案であり、本件とは事案を異にすると判示した。