持続化給付金等支払請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 性風俗関連特殊営業(無店舗型派遣型風俗店)を営む原告会社が、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い売上が急減したとして、持続化給付金(200万円)及び家賃支援給付金(96万8000円)の給付を求めた事案である。各給付金の規程には、性風俗関連特殊営業を行う事業者には給付しない旨の不給付規定が設けられていた。原告は、ウェブサイト上の申請手続では性風俗関連特殊営業に該当しない旨の宣誓が求められたため、書面を中小企業庁に郵送する方法で申請を行った。原告は、被告国に対し、贈与契約に基づく給付金の支払、国家賠償法に基づく損害賠償(150万円)、贈与契約上の地位の確認等を求めるとともに、給付金事務局業務を受託していた被告A及び被告Bに対しても受領委任契約に基づく支払を求めた。 【争点】 主たる争点は、性風俗関連特殊営業を行う事業者を給付対象から除外する不給付規定が憲法14条1項(法の下の平等)に違反するか否かである。原告は、不給付規定は特定の職業に対するスティグマの押し付けであり、厳格な審査基準を適用すべきであると主張した。また、原告は、関連法規を遵守し適正に納税していること等を理由に、少なくとも原告への適用は違憲であるとの適用違憲の主張もした。 【判旨】 請求棄却(確認請求は却下)。裁判所は、給付行政における給付基準の策定は行政庁の広範な裁量に委ねられており、区別の目的に合理的根拠があり、その具体的内容が目的との関連で不合理でなく裁量の範囲を超えないと認められる場合には、憲法14条1項に違反しないとの判断枠組みを示した。その上で、風営法が性風俗関連特殊営業を風俗営業と区別し、許可制ではなく届出制を採用して専ら規制の対象としていることに着目し、その背景には、性風俗関連特殊営業が「性を売り物とする本質的に不健全な営業」であり業務の適正化や健全化になじまないとの立法趣旨があると認定した。そして、国庫からの支出により事業継続を下支えする対象に含めることは、大多数の国民が共有する性的道義観念に照らして相当でないとの判断には合理的根拠があり、性風俗関連特殊営業を一律に除外することも裁量の範囲内であるとして、不給付規定は合憲であると判断した。なお、裁判所は、この判断はあくまで公的資金による事業継続支援に関するものであり、性風俗関連特殊営業に従事する個人の生命や自由の保障について職業に基づく差別が許容されるものではないと付言した。