不作為違法確認等請求事件、国家賠償等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 平成20年、沖縄に駐留する米海兵隊所属の米兵2名が、タクシー運転手であった亡Xに対して強盗傷害事件を起こした。亡Xは頭部裂傷、頚椎捻挫等の傷害を負い、うつ病やPTSDにも罹患し、その後がんにより死亡した。亡Xの妻である原告Aと子である原告Bは、加害者米兵らに対する損害賠償請求権を相続した上で民事訴訟を提起し、平成30年7月、各原告に対しそれぞれ元金868万8333円及び確定遅延損害金452万5074円等の支払を命じる判決(本件確定判決)を得た。原告らは、日米地位協定18条6項に基づく米国見舞金として146万1600円の支払を受けたが、本件確定判決の認容額との間に大きな差額が生じた。そこで原告らは、SACO最終報告に基づくSACO見舞金として、本件確定判決の認容額と米国見舞金との差額の支給を国に求めたが、沖縄防衛局長が提示した見舞金受諾書には確定遅延損害金部分が控除されていたため、原告らはこれを拒否した。原告らは、第1事件として不作為の違法確認及び義務付けの訴えを、第2事件として国家賠償請求訴訟を提起した。 【争点】 主要な争点は、(1)地方防衛局長がSACO見舞金の額を決定することの処分性、(2)義務付けの訴えの適法性、(3)SACO見舞金に確定遅延損害金を含めるべきか、(4)見舞金受諾書を提出しない原告らに対しSACO見舞金を支給しないことの国賠法上の違法性であった。 【判旨】 裁判所は、原告らの訴えのうち不作為の違法確認及び義務付けを求める部分をいずれも却下し、その余の請求をいずれも棄却した。まず処分性について、非権力的な給付行政の分野における給付金等の支給関係は、申込みと承諾による契約関係が原則であり、法律が給付要件と申請権を定め、行政庁が支給・不支給の決定により受給権の存否を判断する手続を採用している場合に限り処分に該当するとした。その上で、SACO見舞金制度は閣議決定に根拠を置くものであって法令上の根拠を有さず、被害者等に申請権を付与する規定や不服申立ての定めもないことから、処分性を否定した。国賠請求については、SACO見舞金の支給は国と被害者等との間の贈与契約に基づくものであり、見舞金受諾書の提出が契約の承諾に該当すると判断した。原告らは見舞金受諾書を提出していないため贈与契約の合意が成立しておらず、国がSACO見舞金を支給しないことは国賠法上違法とはいえないとして、原告らの請求を全て退けた。