執行停止申立についてした決定に対する抗告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 相手方(利用者)は、大阪府立労働センター(エル・おおさか)のギャラリーについて令和3年3月6日に利用承認を受けていたが、同年6月25日付けで利用承認の取消処分及び会議室の利用不承認処分を受けた。これに対し、相手方は両処分の取消訴訟(本案訴訟)を提起するとともに、行政事件訴訟法25条2項に基づき両処分の効力停止を申し立てた。原審(大阪地裁)は、利用承認取消処分の効力停止を認め、その余の申立てを却下した。抗告人(大阪府)が、利用承認取消処分の効力停止を認めた部分を不服として即時抗告を申し立てたのが本件である。本件の背景には、催物の開催に反対するグループによる街頭演説や街宣活動の激化が予想される状況があり、抗告人はこれを理由に利用承認を取り消していた。 【争点】 ①「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」(行訴法25条2項)といえるか、②「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」(同条4項)に該当するか、③「本案について理由がないとみえるとき」(同条4項)に該当するかの3点が争われた。特に争点③に関して、催物の開催に伴う街宣活動等による混乱のおそれが、利用承認取消しの正当な理由となるかが中心的な争点であった。 【判旨】 大阪高裁は、原審の判断を維持し、抗告を棄却した。争点①について、開催予定日まで3週間の期間があったとしても、展示準備期間等を考慮すれば代替施設を確保して催物を開催することは事実上不可能であり、抗告人もこれが可能であることを示す疎明資料を提出していないとして、重大な損害を避けるための緊急の必要性を認めた。また、新型コロナウイルス感染対策についても、主催者側が入場制限や整理券交付を想定してチラシに記載し、具体的な入場制限の内容を説明していたことから、対策を講じていないとの抗告人の主張は前提を欠くとした。争点③について、最高裁平成7年判例(泉佐野市民会館事件)を引用し、主催者が催物を平穏に行おうとしているのに、反対グループが実力で妨害しようとするおそれがあることを理由に公の施設の利用を拒むことは憲法21条の趣旨に反すると判示した。そして、大阪府の暴騒音規制条例に基づく警察官・警察署長の命令発出等による対応が可能であること、警察による適切な警備が期待できること、抗告人自身による安全確保に向けた対応も想定できることから、これらによって防止・回避できない重大な危険が具体的に予測されるとまではいえないとして、本案について理由がないとはいえないと結論づけた。