窃盗,住居侵入未遂被告事件についての控訴棄却決定に対する異議申立て事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、令和3年2月22日に窃盗および住居侵入未遂の罪で起訴され、第1審裁判所は同年5月24日に起訴事実どおりの事実を認定し、被告人を懲役2年に処した。これに対し、同月26日、第1審における補佐人である被告人の兄が控訴申立書を提出して控訴を申し立てた。原裁判所(控訴審)は、被告人のために上訴できる者は第1審の代理人・弁護人および被告人の法定代理人・保佐人に限られるところ(刑訴法355条、353条)、これらに該当しない補佐人からの控訴申立ては不適法であるとして控訴を棄却する決定をした。被告人および第1審補佐人は、この控訴棄却決定に対し異議を申し立てた。 【争点】 刑事訴訟法上、被告人の補佐人は被告人のために上訴をすることができるか。すなわち、補佐人が被告人のなし得る訴訟行為として控訴を申し立てることが適法か否かが争われた。申立人側は、被告人自身に上訴権があり(刑訴法351条1項)、補佐人は被告人がすることのできる訴訟行為をすることができる(同法42条3項)以上、補佐人も上訴ができると主張した。 【判旨】 東京高裁は、異議申立てを棄却し、原決定の判断を正当として是認した。その理由として、刑訴法42条3項は「補佐人は、被告人の明示した意思に反しない限り、被告人がすることのできる訴訟行為をすることができる。但し、この法律に特別の定のある場合は、この限りでない。」と規定しており、特別の定めによって補佐人のなし得る訴訟行為が制限される場合があることを指摘した。そして、刑訴法の上訴権者に関する規定を見ると、補佐人を上訴権者と明記する規定は存在せず、むしろ補佐人となることのできる者の中で被告人の法定代理人または保佐人のみを上訴権者と規定している(同法42条1項、353条)ことから、同法353条は補佐人のうち法定代理人・保佐人のみを上訴権者と限定した「特別の定め」に当たると解するのが相当であると判示した。したがって、第1審の代理人・弁護人でもなく、被告人の法定代理人・保佐人にも該当しない補佐人(被告人の兄)からの控訴申立ては、上訴権を有しない者からの申立てとして不適法であると結論づけた。なお、第1審補佐人からの異議申立て自体も上訴権を有しない者からの不適法な申立てである可能性を指摘しつつ、実体判断に踏み込んだ上で棄却した。