損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 大阪府立高校に在籍していた控訴人(生徒)が、同校の教員らから頭髪指導として繰り返し頭髪を黒く染めるよう強要され、授業等への出席を禁じられるなどしたことから不登校となったと主張する事案である。控訴人は、不登校後も名列表(生徒名簿)から氏名を削除され、教室から自分の机と椅子を撤去されるなどの不適切な措置を受け、著しい精神的苦痛を受けたとして、被控訴人(大阪府)に対し、国家賠償法1条1項又は在学関係上の安全配慮義務違反に基づき約226万円の損害賠償を求めた。原審(大阪地裁)は、頭髪指導自体の違法性は否定したものの、不登校後の名列表からの氏名削除及び机・椅子の撤去について違法を認め、慰謝料30万円及び弁護士費用3万円の合計33万円を認容した。控訴人が敗訴部分を不服として控訴した。 【争点】 主な争点は、(1)校則及び頭髪指導方針の違法性の有無、(2)控訴人に対する頭髪指導について国家賠償法上の違法又は安全配慮義務違反があるか、(3)不登校後の措置(名列表削除・机椅子撤去)の違法性、(4)損害額である。控訴人は当審で、校則による頭髪規制は教育目的によるものとはいえず違法であると補充主張し、卒業生から基準や目的が不明確であるとの声が上がっていることを根拠として挙げた。また、控訴人の地毛の色が黒色ではないとの主張も維持した。 【判旨】 控訴棄却。大阪高裁は原判決を相当と判断し、控訴人の請求を33万円の限度で認容した原判決を維持した。校則の違法性について、裁判所は、頭髪規制の内容はなお一定の範囲にとどまっていると評価した。教員が面談で「学校のイメージ」に言及した点については、地域社会に溶け込み好ましい評価を受けることが生徒の意欲向上や成長といった生徒の利益につながるとの文脈で理解すべきとした。控訴人の補充主張に対しては、校則に基づく指導は生徒の内面的な自覚を促し自主的に守るよう導くことが重要であるとの文部科学省の生徒指導提要を引用しつつも、各高校には多様な生徒に対する教育指導について広範な裁量が認められ、この裁量を逸脱しない限り違法とはならないとした。もっとも、裁判所は、規則を守らせること自体が目的化していないかなど不断の検証努力が求められることにも言及した。地毛の色については、中学校での染髪指導歴や根元の黒色確認など、教員らが合理的根拠に基づき黒色と認識していたと認定し、頭髪指導の違法性を否定した。