AI概要
【事案の概要】 本件は、指定暴力団組長であった被告人が、他の組長や組員らと共謀の上、平成24年8月10日未明、北九州市内の駐車場において、飲食店を統括していた被害者に対し、共犯者がアイスピック様のもので左大腿部を1回突き刺し、加療約7日間を要する傷害を負わせたとして、共謀による傷害罪に問われた事案である。本件は、当該飲食店が暴力団立入禁止標章(暴力団排除条例に基づき暴力団員の立入りを拒絶する旨を掲示するもの)を掲示したことへの報復として行われたものであり、被告人は公判廷で事実を認めた。 【判旨(量刑)】 福岡地方裁判所小倉支部は、被告人を懲役5年に処した(求刑懲役6年)。 本件は、標章を掲示した店舗関係者に危害を加えて掲示をやめさせるとともに、当該暴力団への恐怖心をあおる目的で敢行された犯行であり、その反社会的動機は強く非難されるべきであると評価された。犯行態様についても、被害者の行動確認・下見による計画立案、実行犯に加え、退店連絡係、送迎係、証拠品処分係等、各人が役割を分担して手際よく実行しており、組織性・計画性が顕著で極めて悪質であると認定された。被害も刺創で軽微とはいえず、被害者は恐怖から引越しを余儀なくされるなど精神的苦痛も大きく、さらに一般市民を標的とした暴力団による犯行として厳正な対応が求められるとされた。加えて、被告人は他の組長にも協力を求めて配下組員に指示を出させた主犯であり、過去に暴力団関係事件で長期服役した前歴を有しながら本件に至った点も看過しがたいとして、刑事責任は重いとされた。 他方で、公判段階でようやく事実を認めたこと、被害者との間で82万円を支払う示談が成立し処罰感情が一定程度和らいだこと、暴力団からの離脱と正業就労を誓い、保釈中に実際に就労を開始したことなど、被告人に有利な事情も考慮された。これらを総合衡量してもなお主文の刑はやむを得ないとして、上記結論に至った。