損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、夫婦である控訴人らが、婚姻の際に夫又は妻の氏を称すると定める民法750条は憲法24条1項及び14条1項に違反すると主張し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ慰謝料5円の支払を求めた事案の控訴審である。控訴人Aは前夫との離婚後、戸籍法77条の2の届出により婚氏続称(「B」姓)を選択したが、その後家庭裁判所の許可を得て旧姓「C」に復氏した。控訴人Aの子らは、協議離婚時の約定に従い「B」姓を称し続けていた。控訴人Aが控訴人Dと再婚したことにより「D」姓となった結果、控訴人Aと子らの氏が不一致となり、子らが希望する「C」姓で母子の氏を一致させることも不可能となった。控訴人らは、連れ子のいる者が再婚する場合の不利益は、平成27年の夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決(最大判平成27年12月16日)で具体的に考慮されていない新規の事情であると主張した。 【争点】 主な争点は、(1)連れ子のいる者の再婚という事情が夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決で考慮されていない新規の事情に当たるか、(2)民法750条が連れ子のいる再婚の場面において憲法24条1項及び14条1項に違反するか、(3)国会が選択的夫婦別氏制を導入する立法措置を怠ったことが国賠法上違法といえるかである。 【判旨】 控訴棄却。裁判所は、夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決は、氏が親子関係など一定の身分関係を反映し、婚姻を含めた身分関係の変動に伴って改められることがあり得ることを前提とした判断枠組みを示しており、子が両親と同じ氏を称する利益を享受しない場面があることも当然に考慮の対象とされていると判示した。同大法廷判決の事案が連れ子のいる再婚の場合ではなかったため具体的な言及がないとしても、その場合が考慮されていないとはいえないとした。また、氏は自らの意思のみによって自由に定め又は改めることを認めることは本来の性質に沿わず、「C」姓を称したことがない子らが「C」姓に変更できないことをもって直ちに不合理とはいえないとした。原判決が子らの氏を「D」に変更できると判示した点についても、法制度上の可能性を指摘したにすぎず、改姓を推奨するものではないとして、控訴人らの主張をいずれも退けた。