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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10033
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年2月4日
裁判官
鶴岡稔彦高橋彩寺田利彦

AI概要

【事案の概要】 本件は、特許無効審判請求を不成立とした特許庁の審決の取消しを求めた事件である。被告(株式会社メディオン・リサーチ・ラボラトリーズ)は、「二酸化炭素含有粘性組成物」に係る発明について特許第4912492号(本件特許)を有する特許権者である。本件発明は、炭酸塩及びアルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物と、酸を含有する粉末剤等との組み合わせからなる2剤型のキットであり、使用時に両剤を混ぜて気泡状の二酸化炭素を含有する粘性組成物を得て、医薬組成物や化粧料として用いるものである。 原告(ネオケミア株式会社)は、本件特許に係る発明は、本件優先日(平成9年11月7日)前に公開された先行文献(甲1文献。酸性物質の水溶液を第1剤とし、水溶性高分子と炭酸塩をポリエチレングリコール(PEG)で被覆した固型物を第2剤とする用時混合型発泡性化粧料を開示)等に記載された発明及び技術常識に基づき、当業者が容易に発明することができたものであるとして、進歩性欠如を理由に無効審判を請求した。特許庁は、甲1文献の比較例10に係る発明(引用発明)の「Arg・炭酸塩含有PEG被覆粉末」と「酸含有PEG被覆粉末」の混合物と水との組合せを、本件発明の「Arg・炭酸塩含有含水粘性組成物」と「酸含有粉末剤等」の組合せに変更することは、当業者が容易に想到できたとはいえないとして、無効審判請求は成り立たないとする審決をした。原告はこれを不服として本件訴訟を提起した。 【争点】 引用発明から本件発明1-1の構成(相違点1)に変更することの容易想到性の有無が争点である。原告は、アルギン酸ナトリウムを水に溶解する際にダマが生じやすいという周知の問題(ダマ形成問題)、気泡状二酸化炭素の持続性・安定化・閉じ込め効果向上の必要性、経日安定性の改善等の課題から、引用発明においてアルギン酸ナトリウムを事前に水に溶解させておく動機付けがあり、また素早く徹底的な攪拌操作が不便かつ煩わしいという自明な課題があると主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。裁判所は、甲1文献には引用発明について経日安定性の課題が記載されていることは認めたが、その解決のために「Arg・炭酸塩含有PEG被覆粉末1」をあらかじめ水に溶解して含水粘性組成物に置き換える動機付けは見当たらないと判断した。ダマ形成問題については、甲1文献に記載も示唆もなく、炭酸塩とアルギン酸ナトリウムの混合物がPEGで被覆された粉末ではアルギン酸ナトリウムは少しずつ水に溶解することが容易に理解され、被覆のない場合と水和のしやすさが異なるから、一般的なダマ形成問題が同等に当てはまるとはいえず、当業者が引用発明につきダマ形成問題を見いだすとは認められないとした。気泡状二酸化炭素の持続性・安定化・閉じ込め効果の向上についても、ガス保留性が◎とされる引用発明の試験結果に照らせば、当業者がこれを課題として認識するとはいえないとした。さらに、甲3文献の素早く徹底的な攪拌が不便かつ煩わしいとの記載は、カルシウム塩とアルギン酸塩の組合せに関するもので、カルシウム塩を含まない引用発明にそのまま妥当するとは限らず、引用発明のガス保留性試験結果に照らしてもかかる課題は認められないとした。以上により、本件審決に誤りはないとして請求を棄却した。特許権の進歩性判断における引用発明の課題認定と動機付けの厳格な検討姿勢を示した事例として実務的意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。