川内原子力発電所設置変更許可取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、九州電力が設置・運転する川内原子力発電所1号機及び2号機(本件各原子炉)について、原子力規制委員会が平成26年9月10日付けで参加人九州電力に対してした核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律43条の3の8第1項に基づく設置変更許可処分(本件処分)の取消しを、本件各原子炉周辺地域を中心に全国に居住する原告らが求めた事案である。原告らは、本件各原子炉が所在する南九州には姶良カルデラ、阿多カルデラ等の本件5カルデラが存在し、破局的噴火(VEI7以上)が発生すれば火砕流や大量の降下火砕物によって本件各原子炉の安全性が損なわれるおそれがあるにもかかわらず、原子力規制委員会の設置許可基準規則6条1項の適合性審査及びその前提となる火山影響評価ガイド(火山ガイド)に不合理な点があると主張した。 【争点】 争点は、(1)原告らの原告適格の有無(争点1)、(2)本件申請が設置許可基準規則6条1項の要件(自然現象に対する発電用原子炉施設の安全性確保)を満たすとした原子力規制委員会の判断の違法性の有無(争点2)である。争点2では、とりわけ本件5カルデラの破局的噴火に関する評価枠組み、火山ガイドの合理性、モニタリングによる対処方針の具体性、降下火砕物の層厚や大気中濃度に関する影響評価の妥当性が問題となった。 【判旨】 裁判所は、まず原告適格について、本件各原子炉の事故による影響評価等を踏まえ、本件各原子炉から概ね250㎞の範囲内に居住する者について原告適格を認め、この範囲を大きく超えて居住する原告Aら7名の訴えを却下した。次に、本件処分の違法性については、原子炉設置変更許可処分の取消訴訟における司法審査は、処分行政庁の専門技術的な調査審議及び判断を経てなされた判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであり、具体的審査基準に不合理な点があり、又は具体的審査基準に適合するとした判断の過程に看過し難い過誤、欠落がある場合に違法となると判示した。その上で、火山ガイドの定めに不合理な点のないことが相当の根拠、資料に基づき立証されたといえるかどうか疑いが残るとしつつも、規制法は最新の科学的技術的知見を踏まえて合理的に予測される最大規模の自然災害を想定した安全性確保を求めるものにとどまり、極めて低頻度で現在の科学的技術的知見から予知不可能な破局的噴火については、その発生の可能性が相応の根拠をもって示されない限り、原子力関連法令等が安全性確保の上で想定することを要求しているとは解されないとした。そして、破局的噴火の発生可能性が相応の根拠をもって示されているとはいえない以上、火山ガイドや本件適合性審査が不合理であり又は本件処分が違法であるということはできず、本件各原子炉に影響を及ぼし得る火山の抽出、噴火ステージ評価、降下火砕物の層厚設定及び大気中濃度に関する影響評価等のいずれについても処分行政庁の判断に看過し難い過誤、欠落はないと結論づけ、その余の原告らの請求をいずれも棄却した。