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下級裁

謝罪広告等請求事件

判決データ

事件番号
平成28ワ34935
事件名
謝罪広告等請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2019年6月19日

AI概要

【事案の概要】 本件は、生長の家の元本部員で、政治局政治部長や各教区教化部長等を歴任した原告が、著述家である被告の執筆した書籍「日本会議の研究」(平成28年5月1日扶桑社発行、新書、発行部数約15万3000部)の5つの記述により名誉を毀損されたとして、被告に対し、損害賠償(慰謝料2700万円+弁護士費用300万円)と民法723条に基づく謝罪広告の掲載、人格権に基づく記述部分削除を条件とする書籍発表の差止めを求めた事案である。 本件書籍は、「日本会議」という団体の沿革・活動内容・生長の家との関係等を被告の視点で叙述した新書であり、「第六章 淵源」の章において、同団体の原点に当たる人物として原告を紹介していた。問題となった5つの記述は、(1)原告が後輩に対し、学生運動団体の初代委員長であったDを失脚させるため、女性を引き合わせ、部屋に侵入させて所持品を探らせ、悪評を流布させたこと、(2)「理想世界100万部運動」の過程で自殺者が出たのに原告が無関心であったこと、(3)生長の家が昭和58年8月に政治活動停止を決定した後も、原告が誰も逆らえない地位を背景にセクトのように秘密裡に政治活動の指示を出していたことを摘示するものであった。 被告は、匿名の「X氏」の証言等に基づいて記述したが、原告本人、D、副委員長F、100万部運動を推進した当時の関係者、原告宅でミーティングを行っていたとされるEらへの取材は行っていなかった。 【争点】 (1)各記述が原告の社会的評価を低下させるか、(2)公共性・公益目的の有無、(3)摘示事実の真実性又は真実と信ずべき相当の理由、(4)損害額、(5)謝罪広告の要否、(6)差止めの可否の6点が主な争点となった。 【判旨】 東京地裁は、5つの記述はいずれも一般読者の普通の注意と読み方を基準として、原告が不相当な手段でDを失脚させた、信者の生命より100万部運動達成を優先した、生長の家の方針に反し秘密裡に政治活動を指示したとの各事実を摘示するものであり、宗教家としての原告の社会的評価を低下させると認定した。 公共性・公益目的は、本件書籍が国政との関わりも報道された日本会議に関する叙述であることから肯定した一方、真実性・相当性については、副委員長FやD本人がD失脚に関する謀略の事実を否定していること、100万部運動推進者が自殺者の存在を知らないと供述していること、ミーティングに関与したとされるEらが全員ミーティングの存在を否定していることから、いずれも真実性は認められず、氏名・属性不明の「X氏」の証言のみに依拠し関係者への取材を怠った被告には真実と信ずべき相当の理由もないとして、名誉毀損の成立を認めた。 損害については、記述内容が原告の宗教家としての品位に関わり、書籍が約15万3000部発行され多数の読者の目に触れたこと等を考慮し、慰謝料100万円+弁護士費用10万円の合計110万円を認容した。謝罪広告掲載は、損害賠償に加えてまで命ずる必要はないとして棄却した。 差止請求については、最高裁昭和61年6月11日大法廷判決(北方ジャーナル事件)の基準を私人の名誉権侵害の場合にも準用し、表現内容が真実でないか又は専ら公益目的でないことが明白で、かつ被害者が重大で著しく回復困難な損害を被るおそれがある場合に限り例外的に許されると判示。本件では、原告のD失脚関与を裏付ける文献が複数存在すること、100万部運動で事故死者が出ても原告が方針変更を意見しなかったこと等から、記述内容が真実でないことが明白とはいえず、また原告が大学生時代の学生運動を背景とする記述等であって重大で回復困難な損害を被るおそれもないとして、差止めは認めなかった。結論として、110万円の支払いを命じ、その余の請求(残る慰謝料・弁護士費用、謝罪広告、差止め)は棄却した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。