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知財

意匠権侵害差止等請求控訴事件

判決データ

事件番号
平成30ネ2523
事件名
意匠権侵害差止等請求控訴事件
裁判所
大阪高等裁判所
裁判年月日
2019年9月5日
裁判官
山田陽三久保井恵子三井教匡

AI概要

【事案の概要】 一審原告は、工場等で製品の傷やマークの検出に用いられるLED検査用照明器具について、その後方部材(放熱部)の部分意匠(本件意匠)に係る意匠権を有している。本件意匠は、支持軸体に薄い円柱状のフィン(中間フィン2枚と後端フィン1枚)が等間隔で配置され、後端フィンが中間フィンよりも厚く、フィン各面には支持軸体の通過部分以外に貫通孔がなく平滑であるという点を特徴とする。従来の検査用照明器具では本体ケーシング後端面から電源ケーブルが引き出される構造が一般的であったのに対し、本件意匠は電源ケーブルをケーシング側周面から引き出すことによって後端部を放熱のみに特化したフィン構造体とした点に新規性があるとされていた。 一審原告は、一審被告が製造販売する検査用照明器具(イ号からヘ号までの6製品。イからハまでを「旧型」、ニからヘまでを「新型」という)の放熱部意匠が本件意匠に類似するとして、意匠法37条に基づき製造販売の差止め・廃棄、不法行為に基づく損害賠償合計約4300万円、不当利得返還約225万円等の支払を求めた。原審(大阪地裁)は、旧型の意匠は本件意匠に類似するが新型の意匠は類似しないとし、旧型についてのみ差止めと損害賠償(約271万円)等を認容した。双方が控訴した。 【争点】 本件の中心的争点は、①本件意匠が公知の放熱フィン意匠(タワー型ヒートシンクである乙8意匠、一審被告の従前製品である乙7等意匠、レーザーダイオードに係る乙4意匠、一審原告の従前製品である乙12意匠)により新規性・創作非容易性を欠き無効とされるべきか、②被告製品の意匠が本件意匠に類似するか、特に新型に見られるフィン外周面のフラット面(円弧の一部を切り取った面)やフィン前面縁のテーパーといった形状が類否判断に与える影響、③差止めの必要性、④本件意匠の売上への寄与度である。 【判旨】 大阪高裁は、原判決の結論を維持し、双方の控訴を棄却した。 まず無効理由について、乙8意匠は検査用照明器具の放熱部ではなく汎用ヒートシンクであって物品が非類似であること、乙7等意匠・乙4意匠・乙12意匠との対比でも、本件意匠の特徴である「中間フィン及び後端フィンの各面に支持軸体通過部分以外の貫通孔がなく平滑である」という形態(構成態様M)や軸体の太さ等に顕著な差異があるとして、新規性欠如をいずれも否定した。また各意匠の組合せによる創作非容易性についても、組合せの動機付けを認めるに足りず、仮に組み合わせても電源ケーブルをフィン後端から引き出さずに貫通孔を設けない形態に至るとは認められないとして、創作非容易性欠如の主張も排斥した。 類否判断については、需要者を製造工場等の機器購入担当者・検査業務従事者と捉えた上で、公知意匠にはない「フィン各面に貫通孔がなく平滑である」という点を含む8点を本件意匠の要部として認定した。旧型(イ号・ロ号・ハ号)については、中間フィンの枚数や軸体の太さ等に差異があり、後端フィンにねじ穴があるものの、ねじ穴の存在は需要者の美感に格別の影響を与えず、要部に共通の美感を生じさせるとして本件意匠に類似すると認めた。他方、新型(ニ号・ホ号・ヘ号)については、フィン外周面のフラット面と前面縁のテーパーという形状が、単純な円柱状である本件意匠のフィン形状と対比して特徴的であり、需要者が一見して気づく差異として異なる視覚的印象を与えるから、本件意匠に類似しないと判断した。 差止めの必要性については、一審被告が旧型から新型へ容易に設計変更したことから、再度旧型への変更も極めて容易であるとして、旧型の生産終了を理由とする差止め不要の主張を退けた。寄与度については、本件意匠に係る物品の性質・用途・販売態様に照らし、売上に対する寄与度は10%を超えないとして、一審原告の50%主張を採用しなかった。 本判決は、部分意匠の類否判断において、公知意匠を参酌して要部を抽出し、新規な創作部分の有無と差異点の美感への影響を具体的に検討する意匠法の判断枠組みを丁寧に適用した事例として、実務的意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。