死体損壊,死体遺棄,殺人,窃盗被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、滋賀県守山市で飲食店を経営していた被告人が、知人である被害者(当時69歳の男性)を計画的に殺害し、その死体を損壊・遺棄した上、被害者名義の預金口座から現金を不正に引き出したとして、殺人、死体損壊・遺棄、窃盗の罪に問われた事案です。被害者は被告人経営の飲食店周辺で平成30年8月6日から9日頃までの間に何らかの方法で殺害され、死体は少なくとも13箇所以上で切断された上、排水路や河川法面など複数箇所に分散して遺棄されました。被告人は被害者名義のキャッシュカードを用いて、3回にわたり合計69万7000円を現金自動預払機から引き出しました。被告人は被害者の生前から知人らに「被害者が故郷の高知に姉弟が迎えに来て帰る」などと虚偽の話を広め、死亡後も同様の嘘を続けて事件の隠蔽を図っていました。 【争点】 主な争点は、被害者が他人の加害行為により死亡したか、加害行為及び死体損壊・遺棄の犯人が被告人か、加害行為が殺意に基づくものであったか、被告人による預金払戻しが権限に基づかないものであったかの4点でした。被告人は全面的に無罪を主張し、弁護人は、解剖所見では死因不詳であること、本件車両から採取された血液が死体血であるとする鑑定手法が確立されていないこと、被害者から金銭管理を依頼されてキャッシュカードの交付を受けていたことなどを主張しました。 【判旨(量刑)】 裁判所は、死体が13箇所以上で切断されて複数箇所に遺棄された事実自体が被害者の死亡への関与を強く推認させること、解剖所見から病死・事故死の痕跡がないこと、自殺を図る動機や背景も認められないことから、被害者が他人の加害行為により死亡したと認定しました。被告人の車両に付着していた被害者の血液が死体血と認められるとしたQ鑑定(血液中のDダイマー濃度に着目する手法)について、科学的・合理的根拠があり信用できると判断し、被告人が車両で死体を運搬した事実、死亡直後に被害者の財産を取得した事実、知人らに虚偽の内容を伝えていた事実を総合して、被告人が犯人であると推認しました。さらに、被害者の生前から偽装工作が行われ、死体損壊・遺棄が短期間で完遂されていることから、事前の計画性があったと認め、殺意を認定しました。被告人が供述する「財産管理の依頼」については、実印や介護保険被保険者証まで預けさせる必要性がないこと、確約書メモの記載が客観的事実と整合しないことなどから虚偽と判断し、払戻し権限を否定しました。量刑については、計画性の高さ、死体損壊の態様が被害者の尊厳を軽んじた冷酷なものである点、反省のない態度などを踏まえ、検察官の求刑懲役28年に対し、被告人を懲役25年に処しました。