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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成29行ケ10162
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2018年11月20日
裁判官
鶴岡稔彦高橋彩寺田利彦

AI概要

【事案の概要】 本件は、「光配向用偏光光照射装置」に係る特許(特許第4815995号)について、原告である株式会社ブイ・テクノロジーが特許庁に無効審判を請求したところ請求不成立の審決が出されたため、被告ウシオ電機株式会社を相手に審決の取消しを求めた審決取消訴訟である。 本件特許は、液晶パネルの配向膜や視野角補償フィルムの配向層に対し紫外線の偏光光を照射して配向処理を行う装置に関する発明である。液晶パネルの大型化に伴い配向膜も大型化しているが、大面積に対応できる一枚物の大型偏光素子は製作できないため、ワイヤーグリッド偏光素子を複数並べて使用せざるを得ない。しかしそうすると偏光素子間に境界部が生じ、その部分の照度が低下ないし不均一となり、ディスプレイの画面むらやコントラスト低下といった製品不良の原因となっていた。本件発明は、光照射部を搬送方向に多段に配置したうえで、各段の偏光素子の境界部が他の段の境界部と搬送方向に対して重ならないよう位置をずらして配置することにより、積算光量を均一化して照度分布の不均一性を解消することを特徴とする。 原告は、特開2004-163881号公報(甲1文献、液晶ディスプレイ用コンペンセーションフィルム加工装置)に基づく新規性欠如・進歩性欠如、特開2002-350858号公報(甲2文献、多連化照射ヘッドを備えた光配向装置)に基づく進歩性欠如を主張したが、いずれも認められなかったため本件訴訟に至った。 【争点】 争点は、(1)甲2発明に甲3技術(液晶カラーフィルタ露光用の露光ヘッドを配列方向にずらして配置する技術)または本件周知技術を組み合わせることによる容易想到性の判断の誤り(取消事由1)、(2)甲1発明に基づく相違点の認定の誤りおよび容易想到性の判断の誤り(取消事由2)である。 【判旨】 知財高裁は、いずれの取消事由にも理由がないとして原告の請求を棄却した。 取消事由1について、甲2発明は各照射ヘッドに照度調節機構を設けて照度のバラツキを必要な照度幅内に収めるものであり、既に照度の均一性を保つという課題は解消しているから、当業者が甲2発明から照度分布の不均一性という課題を見出すことはできず、甲3技術等を組み合わせる動機付けがないと判断した。また、甲2発明の多連化照射ヘッドは個別の筐体で区切られた独立の照射ヘッドの集合体であり、各照射ヘッドの偏光子のみを取り出して「複数の偏光素子が並べられ、境界部が生じている偏光素子ユニット」と評価することはできないから、甲3技術や周知技術をどのように組み合わせても本件発明の相違点2の構成には到達しないとした。 取消事由2について、甲1発明の偏光子90は、偏光子セグメント91をウェブの動作方向に対して斜めに傾けて配置することにより、個々のセグメント間にある境界線による縞効果を代償する構造であり、この斜め格子状の境界線構成は1段の放射装置内で照射エネルギー分布の均一化を図るためのものである。したがって、甲1発明において、わざわざ境界線を搬送方向と平行にし、かつ他段の境界線と重ならないよう位置をずらすという本件発明の構成を採用する動機付けはなく、当業者が容易に想到し得たとはいえないと判断した。 本判決は、特許発明の進歩性判断において、引用発明が解決しようとした課題と本件発明が解決する課題との同一性・関連性を慎重に検討し、単に結果物として類似構成が得られ得るかではなく、当業者が引用発明に接した際にその構成変更を動機付けられるかを具体的技術文脈の中で判断すべきことを示した事例として、実務的意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。