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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成29行ケ10209
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2018年11月22日
裁判官
鶴岡稔彦寺田利彦間明宏充

AI概要

【事案の概要】 本件は、オートフォーカスカメラ等に用いられるボイスコイルモータ(VCM)方式のレンズ駆動装置における「レンズホルダ」の特許出願に関する審決取消請求事件である。原告(新シコー科技株式会社)は、平成27年11月17日に「レンズホルダ、レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器」なる発明について特許出願を行ったが、特許庁から拒絶査定を受け、平成28年8月に拒絶査定不服審判を請求するとともに特許請求の範囲を補正した(本件補正)。 本件補正発明は、レンズホルダの外周壁から突出して巻回されるコイルの上下位置を決める「突起部」と「鍔部」を有し、鍔部に突起部と対応する位置の切欠き部を設けることで、光軸方向から見たときに突起部と鍔部本体部分とが重ならない構成を特徴とする。これにより、コイルを整列巻きしやすくし、かつコイルのガタつきを抑制することを目的としていた。 特許庁は平成29年10月4日、本件補正発明は引用例(特開2007-121695号公報)に記載された引用発明と同一、あるいは引用発明および周知技術に基づき当業者が容易に発明できたとして、本件補正を却下し、審判請求を不成立とする審決をした。原告は、審決の周知技術の認定、新規性判断および進歩性判断に誤りがあるとして、審決の取消しを求めて本訴を提起した。 【争点】 本件補正発明と引用発明との相違点(鍔部の切欠き部構成と、光軸方向から見た突起部・鍔部本体部分の重ならない位置関係)について、引用発明および周知技術に基づき当業者が容易に想到し得たかが主たる争点である。具体的には、(1)審決が認定した周知技術Aの認定に誤りがあるか、(2)引用例の図6および段落【0027】の記載を踏まえると、周知技術Aの適用に阻害要因があるか、(3)本件補正発明の効果への言及が後知恵にあたるか、が問題となった。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。 裁判所は、樹脂材料を一体成型する際、製造コストの観点から開閉する二つの金型だけで成型できるように、部材が開閉方向から見て重ならないよう設計すること(周知技術A)が本願優先日時点で周知であったと認定した。引用発明においてレンズホルダ、フランジ部およびスペーサ部は一体成型されるものであるところ、製造コスト低減は当業者が当然検討する事項であり、引用発明に周知技術Aを適用して、光軸方向から見たときに突起部と鍔部本体部分が重ならないように設計することは、当業者が容易に想到し得るものと判断した。 原告の阻害要因の主張に対しては、引用発明において突起部に挟まれていない部分が存在することは図3から明らかであり、コイルには一定の張力が生じるため、突起部同士が光軸方向で重ならない位置にあっても巻線範囲は正確に決定されると理解されるから、阻害要因は存在しないと退けた。また、本件補正発明の効果への言及は、容易想到性の論理付けに直接用いられたものではなく、顕著な効果が認められないことを指摘したにすぎず、後知恵との批判はあたらないとした。 本判決は、機械部品の一体成型における製造コスト低減という当業者の通常の動機付けを、進歩性判断の容易想到性を基礎づける要素として重視した事例として、特許実務上参考となる。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。