AI概要
【事案の概要】 本件は、「液晶キーボードの背景の画像を着せ替える方法」を名称とする特許(本件特許)の特許権を保有していた原告ら(原告会社及びその代表社員である原告A)が、被告バイドゥ株式会社が製造販売するスマートフォン・タブレット用文字入力キーボードアプリ「Simeji」(被告製品)について、当該アプリに搭載されていたキーボードボタンの背景画像を着せ替える機能(本件機能)により、本件特許権の間接侵害(特許法101条4号・5号)が成立すると主張して、主位的に不法行為(民法709条)に基づき、予備的に不当利得(民法703条)に基づき、原告会社につき1億円、原告Aにつき5000万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。 【争点】 ・被告各方法が本件各発明の技術的範囲に属するか ・間接侵害(特許法101条4号・5号)の成否 ・本件特許の無効の抗弁の成否 ・損害の発生及びその額 ・不当利得額 ・消滅時効の成否 【判旨】 裁判所は、間接侵害の成否(争点2)について判断し、原告らの請求をいずれも棄却した。 特許法101条4号・5号は、その物自体を利用して特許発明に係る方法を実施することが可能である物について、これを生産、譲渡等する行為を特許権侵害とみなすものであり、特許発明に係る方法を実施することが可能である物の生産に用いられる物を生産、譲渡等する行為を特許権侵害とみなすものではないと解される(平成17年知財高裁特別部判決参照)。 本件では、被告製品(アプリ)の利用者は、被告製品をスマートフォン等にインストールし、当該スマートフォン等でアプリを起動して動作させていたのであるから、その物自体を利用して本件各発明に係る方法を実施することが可能である物は被告製品をインストールしたスマートフォン等であり、被告製品は、そのようなスマートフォン等の生産に用いられる物にすぎない。したがって、被告製品の製造販売は特許法101条4号・5号の間接侵害に当たらない。 原告らは、①プログラムに係る発明を方法の発明として出願した場合にも保護が必要であること、②同条2号との均衡、③間接侵害の成立範囲が不当に広がらないこと、④4号には「のみ」の限定があること等を主張したが、裁判所は、物の発明と方法の発明で間接侵害の成立範囲が異なることは当然であり、プログラムは物の発明として特許法の保護対象となり得る以上(同法2条3項1号、4項)、あえて方法の発明として特許を取得した原告の選択の結果であって、間接侵害が成立しないと解しても同法による保護に欠けるものではないとして、これらの主張を斥けた。 その余の争点について判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がないとして棄却した。