損害賠償請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和5(ネ)839
- 事件名
- 損害賠償請求控訴事件
- 裁判所
- 名古屋高等裁判所 民事第2部
- 裁判年月日
- 2024年10月3日
- 裁判官
- 亀村恵子
- 原審裁判所
- 津地方裁判所
- 原審事件番号
- 令和2(ワ)564
AI概要
【事案の概要】 三重大学大学院工学研究科の助教(現准教授)である控訴人(女性)が、同大学の教授らから採用時以降、種々のハラスメント行為を受けたとして、国立大学法人三重大学(被控訴人)に対し、国家賠償法1条1項及び民法709条に基づき、逸失利益・慰謝料等合計4084万5615円及び遅延損害金の支払を求めた事案の控訴審である。原審(津地裁)は請求を全部棄却したため、控訴人が控訴した。 【争点】 (1) 教授らによる各行為(任期の不当な取扱い、執務室カメラによる盗撮、構造系からの排除、院生用研究室配分の拒絶等)の違法性(不法行為の成否) (2) 控訴人の損害額 (3) 消滅時効の成否 【判旨】 原判決変更。110万円(慰謝料100万円+弁護士費用10万円)及び遅延損害金の限度で請求認容。 控訴審は、以下の4つの行為を国賠法1条1項の適用上違法と認定した。①任期に関する不当な取扱い:法令上任期を付すことが許されないポストにつき、教授らが違法な任期付き同意書への署名押印を事実上強要し、控訴人を約8年間不安定な地位に置いた行為。②本件カメラによる盗撮:執務室内のウェブカメラの存在・撮影範囲を控訴人に説明しなかったことがプライバシー侵害に当たる(ただし消滅時効完成により賠償対象外)。③構造系からの排除:控訴人の意向を確認せず指導担当教授を変更し、構造系から事実上排除して「村八分」状態に置いた行為。④院生用研究室配分の拒絶:准教授昇進後も院生用研究室の割当てを拒絶し、専攻内での検討すら行わなかった専攻長の対応。 また、①③について被控訴人の安全配慮義務違反(不作為の不法行為)も認定した。なお、本件訴訟提起後に設置された再調査委員会がハラスメント認定を否定したが、裁判所は「損害賠償義務を免れるために組織的に行われたのではないかと疑われる」としてその信用性を否定した。損害については、逸失利益等の財産的損害は認めず、慰謝料100万円と弁護士費用10万円の合計110万円を認容した。