組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人両名は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織的犯罪処罰法)違反の罪に問われた。第1審判決は、被告人らから暗号資産(仮想通貨)交換所運営会社に対する暗号資産NEM、BTC等に係る金銭債権(犯罪被害財産)を没収するとともに、被告人両名から連帯して2595万0033円、被告人Bから3966万9577円を追徴する旨言い渡した。被告人両名が控訴したところ、原判決(控訴審)は、暗号資産の移転を目的とする債権は令和4年法律第97号による改正前の同法13条1項にいう「金銭債権」に当たらないとして、暗号資産に係る没収を取り消した。しかし、検察官がその相当価額を追徴額に加算すべきと主張したのに対し、没収に換えて追徴を科すことは被告人の不利益になるとして、第1審判決と同額の追徴にとどめた。検察官及び被告人双方が上告した。 【争点】 被告人のみが控訴した場合において、第1審判決が同法13条1項により没収するとした財産について、控訴審が没収に換えて同法16条1項により相当価額の追徴を言い渡すことが、刑訴法402条の不利益変更禁止原則に反するか。 【判旨】 最高裁第三小法廷は、上告を棄却した。職権判断として、同法は13条1項の没収の換刑処分・代替処分として16条1項の追徴を定めており、両者が等価値であることを前提としていると指摘した。没収と追徴は剝奪対象の財産の範囲を異にするが、この差異は法において織り込み済みであり、等価値性を左右しないとした。したがって、被告人のみが控訴した場合に、没収に換えて相当価額の追徴を言い渡すことは、刑訴法402条にいう「原判決の刑より重い刑を言い渡す」ことにはならないと判示した。もっとも、本件では、被告人らが現に得た利益はごく一部にとどまり、原判決の追徴額が利益の大部分に相当すること等の事情を勘案し、追徴額を加算しなかったことをもって破棄しなければ著しく正義に反するとまでは認められないとして、結論として上告を棄却した。裁判官全員一致の意見である。
裁判要旨
被告人のみが控訴した場合において、第1審判決が組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(令和4年法律第97号による改正前のもの)13条1項の規定により没収するとした財産について、控訴審判決において、没収に換えて同法16条1項の規定によりその相当価額の追徴を言い渡すことは、刑訴法402条にいう「原判決の刑より重い刑を言い渡す」ことにはならない。
参照法条
刑訴法402条、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(令和4年法律第97号による改正前のもの)13条1項、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(令和4年法律第97号による改正前のもの)16条1項