AI概要
【事案の概要】 被告人は、妻であるAと共謀の上、平成31年4月頃から令和4年11月頃までの約3年7か月間にわたり、知人らに対し、(1)長女がC銀行に勤めておりノルマ達成のためカードローン契約が必要であるなどと嘘を言って知人10名からRカード(ローンカード)合計11枚をだまし取り、(2)長男の心臓手術費用が必要である、知人のローンカード借入金の返済を肩代わりする必要がある、Aの実母の入院治療費が必要である、校長から預託金を求められているなどと虚偽の理由を告げて知人6名から現金合計3480万円をだまし取った詐欺の事案である。 【争点】 被告人とAとの間の共謀の範囲が争点となった。検察官は、被告人とAが包括的共謀を遂げていたとして、Aが単独で実行した5件の詐欺についても被告人に共同正犯が成立すると主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、包括的共謀の主張を排斥した。被告人らの共犯関係は犯罪グループとは異なり、知人に対し自分の子に関する嘘を言うという手口からすると対象者の選定は重要な要素であるところ、被告人は各犯行前にAと話し合って対象者を決めていたと一貫して供述しており、被告人が対象者を認識しないままAが実行した詐欺についてまで共同実行したとする包括的共謀の立証はされていないとして、Aの単独実行5件については無罪を言い渡した。 有罪部分の量刑につき、それまでの人間関係に基づく信用と善意につけ込み、3年7か月間にわたり次々と知人をだまし、1名からは理由を変えて8回も現金をだまし取るなど態様は悪質で、被害金額も多額であること、犯行の計画・欺罔行為の大半・ローンカードや現金の管理は共犯者が行ったものの、被告人も了承の上利益を等しく享受しており責任は共犯者と同等であることから、同種事案の中で重い部類に属するとした。他方、全被害者への謝罪文送付等の反省の態度や前科前歴がないことを考慮し、求刑懲役6年に対し、懲役5年(未決勾留日数500日算入)を言い渡した。