特許権移転登録手続請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人(株式会社グレースラボテック)は、発明の名称を「ヘアーアイロン」とする特許第6527371号の特許権(本件特許権)について、特許を受ける権利を有していたにもかかわらず、控訴人の代表権限を有しないB'が当該権利をC'に譲渡したため、本件特許は冒認出願に該当すると主張した。そこで、特定承継により特許権者として登録されている被控訴人(株式会社アデランス)に対し、特許法74条1項に基づき本件特許権の移転登録手続を求めた事案の控訴審である。原審は控訴人の請求を棄却した。 【争点】 冒認出願に係る特許権の転得者に対する移転登録手続請求において、民法94条2項の類推適用により転得者が保護されるか。具体的には、(1)特許法79条の2が民法94条2項類推適用を排除するか、(2)控訴人側に虚偽の外観作出についての帰責性があるか、(3)被控訴人らが善意無過失であったか、が争われた。 【判旨】 控訴棄却。知財高裁は、特許法74条1項に基づく移転登録手続請求においても民法94条2項の類推適用は排除されないとした上で、以下のとおり判断した。 まず、帰責性について、B'による本件譲渡契約の締結は控訴人自身の内部事情や行為にその一因があること、控訴人の真の代表者であるEは遅くとも平成28年11月29日には虚偽の外観の存在を認識していたにもかかわらず、令和3年まで約4年間、株主総会決議の不存在確認の訴え等を行わず、出願人名義を戻すための方策もとらなかったこと、さらに判決確定後もC'に対して何らの措置もとらなかったことから、虚偽の外観作出について重い帰責性が認められるとした。 次に、被控訴人らの善意無過失について、本件譲渡契約②締結時点で出願公開から5年以上、本件譲渡契約①から6年5か月以上が経過し、その有効性が明示的に争われていなかったこと等から、被控訴人らは善意無過失であったと認定した。 控訴人の弁論主義違反の主張についても、原審の弁論に顕れていた事実等の評価の問題に過ぎないとして排斥した。