AI概要
【事案の概要】 被告人は、内妻A(当時43歳)の浮気を疑っていたところ、令和4年6月12日午後4時50分頃、埼玉県本庄市内の歩道上において、Aに対し浮気の有無を問い質したが否定されたことに激高し、殺意をもって包丁(刃体約17.5cm)で右側胸部等を複数回突き刺すなどしてAを殺害した(殺人)。また、同年5月下旬頃から6月12日までの間に覚醒剤を自己の身体に摂取して使用した(覚醒剤使用)。さらに、正当な理由なく包丁1本を携帯した(銃刀法違反)。 【争点】 ①覚醒剤使用の故意の有無、②犯行時の精神状態(幻聴の有無)、③殺人罪における自首の成否。 【判旨(量刑)】 懲役18年(求刑同旨)。 ①覚醒剤使用の故意について、被告人は公園で知り合ったフィリピン人から酔い止めと思って飲んだ薬が覚醒剤だった可能性がある旨供述したが、覚醒剤を初対面の者に合理的理由なく譲り渡すとは考え難く、供述内容も変遷しており信用できないとして、被告人の意思に基づく摂取と認定した。 ②精神状態について、被告人は犯行当日に幻聴があった旨供述したが、周囲の状況を理解した行動をとっていること、起訴前鑑定を行った精神科医が幻聴の供述は虚偽であると証言していること等から、犯行時に幻聴はなかったと認定し、精神障害の影響を量刑上考慮すべきではないとした。 ③自首について、被告人が交番に出頭する前に、現場の警察官が長女から被告人の犯行を聴取しており、犯人発覚後の出頭であるため自首は成立しないとした。 量刑理由として、外出時に包丁を隠し持ち、浮気を否定されて激高し、倒れた被害者に少なくとも4回以上包丁を振り下ろすなど残虐極まりない攻撃を加えたこと、幼い長女の面前での犯行であること、動機が自己中心的であること、公判で精神症状について虚偽を述べるなど真摯な反省がうかがえないことを指摘し、交番への出頭等を考慮しても懲役18年は免れないとした。