AI概要
【事案の概要】 原告は、日本人として出生し、英国国籍の男性と日本国籍の女性の夫婦(原告養親)との特別養子縁組により養子となった後、原告養親が英国国務長官に対して行った英国市民登録の申請に基づき、英国市民として登録され英国国籍を取得した。原告は、国籍法11条1項(「日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」)により日本国籍を喪失したとされたことに対し、日本国籍を有することの確認を求めて提訴した。 【争点】 ①法定代理人(原告養親)が行った英国市民登録手続による英国国籍の取得に国籍法11条1項が適用されるか、②同項が憲法10条、13条及び22条2項に違反するか、③同項が憲法14条1項に違反するか(未成年者への適用を含む)。 【判旨】 請求棄却。争点①について、裁判所は、国籍法11条1項の「自己の志望によって」とは、外国籍の取得を希望する本人の意思行為に基づくものを広く指すと解し、外国の法律により法定代理人が本人に代わって行う意思行為も本人の意思行為と評価できるとして、同項は法定代理人による外国籍取得行為にも適用されると判断した。本件では、原告養親は申請書のガイドを通じ英国国籍取得手続であることを理解していたと認定し、英国国籍取得の意思を否定すべき特段の事情はないとした。争点②について、憲法22条2項は国籍離脱の自由を定めるにとどまり、国籍を離脱しない自由や国籍保持の権利を積極的に保障するものではないとした上で、同項の立法目的(重国籍防止及び国籍変更の自由の保障)及びその手段はいずれも合理的であり、憲法10条に基づく立法裁量の範囲内であると判断した。争点③について、志望による外国籍取得者と他の重国籍者との区別は、自己の意思の介在の有無に基づく合理的なものであり、未成年者への適用についても結論は異ならないとして、憲法14条1項に違反しないと判断した。
裁判要旨
法定代理人である親権者が行った未成年者である子の英国市民登録の申請に基づき、当該子が英国国籍を取得した場合につき、国籍法11条1項は法定代理人による外国籍の取得行為にも適用され、特段の事情のない限り、当該親権者には当該子の英国国籍を取得する意思があったものと認められ、当該子は「自己の志望によって」英国国籍を取得したものといえるところ、当該親権者において当該子の英国市民登録の申請書を提出するに当たり、英国市民登録が英国国籍を取得するための手続であり、その取得により原国籍を喪失するおそれがある旨記載されたガイドを読み理解したことを確認する旨のチェック欄に所定の書込みをしていたという判示の事情の下では、当該子の英国国籍を取得する意思があったことを否定すべき特段の事情は認められないとして、同項の「自己の志望によって外国の国籍を取得したとき」に該当するとした事例