AI概要
【事案の概要】 本件は、「遠隔操縦無人ボート」に関する特許(特許第3939710号)の特許権を有していた原告(コデン株式会社)が、被告(株式会社ハイドロシステム開発)の製造・販売する自律航行型ラジコンボート「T-Boat」が本件発明の技術的範囲に属するとして、不法行為に基づく損害賠償1000万円(総額5500万円の一部請求)及び遅延損害金の支払を求めた特許権侵害訴訟である。本件特許の存続期間は既に満了している。 【争点】 主な争点は、(1)被告製品の本件発明の技術的範囲への属否(構成要件D「初期位置」の充足性、構成要件F「操舵装置」の充足性、構成要件I「残量検出装置」の充足性、構成要件J「第1制御装置」の充足性、均等侵害の成否)、(2)無効理由の有無(進歩性欠如、サポート要件違反)、(3)損害額である。特に構成要件Jの自動回帰発動条件(遠隔操縦装置からの信号途絶時又は電源残量が半分以下になった場合)の充足性が中心的争点となった。 【判旨】 裁判所は、構成要件Dの「初期位置」について、ボートを自動回帰させる回帰先として設定され記憶された位置を意味すると解し、被告製品のホームポジションはこれに該当するとして充足を認めた。しかし、構成要件Jについて、本件発明の「第1制御装置」は自動回帰発動条件①(信号途絶)と②(電源残量半分以下)の双方の機構を備える必要があると解釈した上で、被告製品は下限電圧49Vに設定しても電力量残量は満充電時の20%台にとどまり、電源残量が半分以下となった場合に自動回帰する構成を備えていないと認定した。均等侵害についても、出願経過において「所定の条件」から「電源の残量が半分以下」と補正して特許査定を受けた経緯から、「半分以下」以外は意識的に除外されたとして第5要件を欠くと判断した。以上により、被告製品は本件発明の技術的範囲に属さないとして、原告の請求を棄却した。