AI概要
【事案の概要】 本件は、昭和61年3月19日夜、福井市内の団地で当時15歳の被害者が殺害された事件(福井女子中学生殺人事件)について、殺人罪により懲役7年の有罪確定判決を受けた請求人が、第二次再審請求を行った事案である。確定判決(平成7年2月9日名古屋高裁金沢支部)は、請求人の自白や直接的な物的証拠がない中、事件当夜に請求人と行動を共にしたとする主要関係者6名の供述(犯行現場付近への同行、着衣への血痕付着の目撃、犯行告白の聴取等)を間接証拠として、請求人を犯人と認定したものであった。なお、第一審(福井地裁)は無罪を言い渡しており、控訴審で逆転有罪となった経緯がある。請求人は平成15年に刑の執行を終えている。 【争点】 主要関係者供述の信用性、すなわち、Bが自己の刑事事件の減刑等を図る目的で虚偽の供述を行い、捜査に行き詰まった捜査機関がBの供述に依存して、被誘導性の高い他の主要関係者に対し不当な誘導等を行い、Bの供述に沿う供述を形成させたのではないかという弁護人らの仮説が成り立ち得るか否かが実質的争点となった。 【判旨】 当裁判所は、再審を開始する旨決定した。新証拠の検討により、確定判決が有罪認定の柱としたJ、H及びBの各供述について、以下の重大な疑問が生じた。Jについては、事件当夜の行動に関するアリバイ的事実との矛盾や、当審での証人尋問における供述の変遷が認められた。Hについては、捜査段階における供述経過に不自然な変遷があり、捜査機関による誘導の具体的可能性が示された。Bについては、自己の刑事事件の減刑を図る動機があり、供述内容にも重大な疑問が生じた。さらに、主要関係者供述の信用性を補強するとされた客観的裏付け事実にも誤りがあることが判明した。新旧証拠を総合評価した結果、主要関係者が捜査機関の不当な誘導等に迎合して虚偽供述をした具体的かつ合理的な疑いが認められ、確定判決の事実認定には合理的な疑いが生じたとして、弁護人ら提出の新証拠は刑訴法435条6号の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」に該当すると判断し、刑訴法448条1項により再審開始を決定した。