AI概要
【事案の概要】 さいたま市立中学校の教頭であった原告が、令和4年4月に同校に着任した校長Aから日常的にパワーハラスメントを受けたことにより、メニエール病及び適応障害を発症して休職を余儀なくされたとして、さいたま市に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料500万円、逸失利益337万4930円、弁護士費用83万7493円の合計921万2423円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。 【争点】 校長Aの原告に対する言動が国家賠償法上違法なパワーハラスメントに当たるか、また原告の損害額が主な争点となった。被告は、Aの指示・指導は校長としての職務権限の範囲内であり、原告の長時間労働は原告自身の意思によるものであると主張した。 【判旨】 裁判所は、校長Aの言動はパワーハラスメントに当たると認定した。Aは、原告がAに対する恐怖心を抱いていることを知りながら、着任当初から原告を1日に多い時で四、五回も校長室に呼び出し、「お前の責任があるだろう」「俺に恥かかせるんじゃねえ」「あほかっ!つーんだよ!」等と大声で叱責し、前任校長を「A級戦犯」、原告を「B級戦犯」と呼ぶなど、社会通念上許される職務上の指示・指導の範疇を大きく逸脱する言動を日常的に繰り返していた。その結果、原告の4月の時間外在校等時間は195時間27分に達し、メニエール病及び適応障害を発症して休職に至った。裁判所は、教育委員会の調査でもパワハラを認めるに足りる事情が相当程度収集されていたにもかかわらず認定に至らなかったこと、Aが現時点でもパワハラを否認し反省の態度を示していないことも、原告の精神的苦痛を増大させる事情と評価した。損害額については、休業損害337万4930円、慰謝料100万円、弁護士費用45万円の合計482万4930円を認容した。