AI概要
【事案の概要】 原告(再生ファーマ株式会社)は、「乳酵素処理物、その製造方法、組成物および製品」に関する特許出願について拒絶査定を受け、不服審判を請求したが、特許庁は審判請求不成立の審決をした。本件は、同審決の取消しを求める訴訟である。本件補正発明は、ウシ由来の乳(ウシ初乳を除く)をβ-ガラクトシダーゼおよびシアリダーゼと接触させる工程を含む乳酵素処理物の製造方法に関するものである。 【争点】 本件補正発明が、甲1発明(ウシ初乳をβ-ガラクトシダーゼ・シアリダーゼで酵素処理してマクロファージ活性化因子を得る方法)及び甲3公報に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものか(進歩性の有無)。具体的には、①甲3公報にGc-グロブリンの酵素処理に関する技術的事項が開示されているか、②甲1発明のウシ初乳をウシ常乳に置換する動機付けがあるか、③ウシ常乳の使用による顕著な効果があるか、が争われた。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を棄却した。まず、Gc-グロブリンをβガラクトシダーゼ及びシアリダーゼで処理してマクロファージ活性因子を生成することは優先日当時の周知技術であり、甲3公報にもその内容が言及されていると認定した。次に、甲1文献と甲3公報は糖鎖修飾によりマクロファージを活性化するものを提供する点で課題が共通すること、甲3公報にGc-グロブリン源として乳製品が挙げられていること、ウシ常乳もGc-グロブリンを含むことが周知であったこと、ウシ常乳はウシ初乳と比較してはるかに流通量が多く入手しやすいこと等から、ウシ初乳に代えてウシ常乳を採用する動機付けは十分にあり、阻害要因も認められないと判断した。さらに、原告が提出した実験結果(甲10)についても、使用したウシ初乳の搾取時期が不明であること、マクロファージの反応性が同一であることが確認されていないこと、統計的有意差の検証がないこと等から、顕著な効果を裏付けるものとはいえないとした。