取締役会決議無効確認請求
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告会社(エレベーター等の製造販売業)の株主であり、元代表取締役・会長職にあった原告が、被告の取締役会決議の無効確認と会長職報酬の支払いを求めた事案である。被告では、株主オアシスの提案により臨時株主総会で従来の取締役2名(E・F)が解任され、新たに4名(Aら)が選任された。その後の取締役会で、Aが議長に選任され、指名・報酬諮問委員会の委員が選任され、さらに原告が会長職から解職されて委任契約が解除された。原告は、これらの取締役会決議には招集手続違反や特別利害関係人の参加等の瑕疵があり無効であるとして、3つの決議の無効確認と、委任契約に基づく令和5年4月から6月分の報酬390万円及び遅延損害金の支払いを求めた。 【争点】 1. 取締役会決議の無効確認の利益の有無 2. 取締役会の招集手続違反の有無(定款所定の招集権者が解任された後の招集手続の適法性) 3. 同時通訳等の措置を講じなかった手続違反の有無 4. 特別利害関係を有する取締役(オアシスの株主提案で選任されたAら4名)の参加により決議が成立したか否か 【判旨】 裁判所は、原告の請求をすべて退けた。まず、取締役会決議の無効確認請求については、確認の利益を欠くとして訴えを却下した。過去の法律関係の確認は、現に存する紛争の直接かつ抜本的な解決のために最も適切かつ必要な場合に限り許されるところ、原告主張の株主平等原則違反は主観的な不安にすぎず、また会長職の地位も委任期間(1年間)の満了により消滅しており、報酬請求権については給付訴訟を提起すれば足りるとした。 次に、報酬請求に関連する28日の取締役会決議の有効性について、招集手続違反の主張に対しては、会社法366条1項により取締役会の招集権限は各取締役にあるのが原則であり、定款所定の招集権者が解任されて不在となった場合は原則に戻り各取締役が招集権を有するため、Aによる招集は本件議長選任決議の有効無効にかかわらず適法であるとした。特別利害関係の主張に対しては、取締役が特定の株主の提案に基づき選任されたことや決議内容が当該株主の要求と合致することのみをもって、忠実義務の誠実な履行が定型的に困難な個人的利害関係を有するとは認められないとして、Aら4名の特別利害関係を否定した。以上により、本件解職決議は有効であり、報酬請求期間の開始前に委任契約は終了したとして、報酬請求を棄却した。