不動産登記申請却下処分取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件被相続人Cは平成31年に死亡し、子・直系尊属・配偶者はおらず、兄弟姉妹としてはB(養子縁組によりCの母Dの養子となった者)のみがいたが、Bは平成14年に既に死亡していた。Bの実子である被上告人らは、民法889条2項が準用する同法887条2項の規定によりBを代襲してCの相続人となるとして、Cの遺産である不動産について相続を原因とする所有権移転登記等を申請した。しかし、横浜地方法務局川崎支局登記官は、申請の権限を有しない者の申請に当たるとしてこれを却下した。被上告人らが国を相手に却下処分の取消しを求めたのが本件である。なお、BはDとの養子縁組前に被上告人らを出生しており、被上告人らはいわゆる養子縁組前の養子の子に当たる。 【争点】 被相続人の兄弟姉妹が被相続人の親の養子である場合に、養子縁組前に出生した養子の子が、当該兄弟姉妹を代襲して相続人となることができるか。具体的には、民法889条2項において準用する同法887条2項ただし書の「被相続人の直系卑属でない者」をどのように読み替えるべきかが問題となった。 【判旨】 最高裁第三小法廷は、原判決を破棄し、被上告人らの控訴を棄却した。民法887条2項ただし書は、養子縁組前の養子の子が被相続人との間に養子縁組による血族関係を生じない(民法727条)ことから、養子を代襲して相続人となることができないことを明らかにした規定である。これを踏まえると、民法889条2項において準用する同法887条2項ただし書も、被相続人の兄弟姉妹が被相続人の親の養子である場合に、養子縁組前の養子の子は養子を代襲して相続人となることができない旨を定めたものと解される。したがって、被相続人とその兄弟姉妹の共通する親の直系卑属でない者は、被相続人の兄弟姉妹を代襲して相続人となることができない。被上告人らはCとBの共通する親であるDの直系卑属ではないため、Bを代襲してCの相続人となることはできないと判断した(裁判官全員一致)。
裁判要旨
被相続人とその兄弟姉妹の共通する親の直系卑属でない者は被相続人の兄弟姉妹を代襲して相続人となることができない。
参照法条
民法887条2項、民法889条1項2号、2項