AI概要
【事案の概要】 本件は、「情報処理端末」に関する特許出願(特願2021-80176号)について、拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。原告(株式会社フライトソリューションズ)は、接触型・非接触型の両読み取り部を備え、決済以外の用途(マイナンバーカード等)にも適用可能な情報処理端末の発明を出願したが、審判段階での手続補正が却下され、補正前の本願発明についても進歩性が否定された。 【争点】 (1) 本件補正の可否(補正事項4「決済に関する情報の入力の有無に関係なく」の削除が特許請求の範囲の減縮に当たるか) (2) 本件補正発明の明確性(「決済以外の用途において適用可能な情報処理端末」が専用端末か共用端末か不明確といえるか) (3) 本願発明の進歩性(引用発明1・2に基づく容易想到性) (4) 上申書の補正案に対し弁明の機会を与えなかった手続違背の有無 【判旨】 知財高裁は、取消事由1(本件補正却下の判断の誤り)を認め、審決を取り消した。 まず補正事項4について、「決済に関する情報の入力の有無が待ち受け状態の維持に関係する情報処理端末」が補正後に技術的範囲に含まれるとの解釈には一応の余地があるとしつつも、本願発明の趣旨目的に照らし、そのような端末は非決済用媒体を読み取れない不合理なものとなることを指摘した。明細書の内容を考慮すれば、補正前後を通じ待ち受け状態に決済情報の入力が不要であることに変わりはなく、当該文言は決済以外の用途への適用可能性を特定していたにすぎないと解するのが相当であるとし、補正事項4により技術的範囲が拡大するものではないと判断した。補正事項1・3と合わせ、本件補正は全体として特許請求の範囲の減縮に当たるとした。 明確性についても、「決済以外の用途において適用可能」との記載は、明細書に専用端末・共用端末双方の実施例が記載されていることを参酌すれば、第三者の利益を不当に害するほど不明確とはいえないと判断した。 取消事由1が認められたため、進歩性(取消事由2)及び手続違背(取消事由3)については判断を要しないとした。