審決取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は、名称を「照明装置」とする発明について特許権(特許第6813851号)の設定登録を受けた。本件発明は、赤色・青色・緑色の三つの発光手段を有する発光部と、人の覚醒度合に関する生体情報を取得する覚醒度合生体情報取得部と、生体情報に応じて三つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたまま青色又は緑色発光手段の発光量比を増加させる調節部とを有する照明装置に関するものである。被告(パナソニック)が無効審判を請求し、特許庁は請求項1について特許を無効とする審決をした。原告はこの審決の取消しを求めて知的財産高等裁判所に訴えを提起した。 【争点】 (1) 取消事由1:本件発明1の審判甲1(特開2009-266484号公報)に基づく進歩性の有無に関する判断の誤り。具体的には、甲1発明における「眼の開閉状態」が「覚醒度合に関する生体情報」に該当するかの認定の当否、甲1発明に緑色発光手段を適用することの阻害要因の有無、動機付けの有無、いわゆる「容易の容易」に該当するか等が争われた。 (2) 取消事由2:本件審決予告と本件審決で相違点の認定が変わったにもかかわらず、再度の審決予告をせずに審決をしたことの手続的違法性。 【判旨】 請求棄却。取消事由1について、裁判所は、審判甲1は眼の開閉状態を人の覚醒度合の指標としており、覚醒度合生体情報取得部を有する照明装置を開示していると認定した。また、審判甲1には第2の光源としてグリーンのLEDを用いることができる旨の記載があり、緑色発光手段の適用を除外する示唆はないとした。会議室や病室の照明を白色光とすることが技術常識であり、赤・青・緑の三種類の光源を用いることが周知技術であることから、甲1発明に青色・緑色発光手段を適用する動機付けがあると判断した。阻害要因についても、青色とグリーンの両LEDの発光量を増やして赤色の発光量を減らせば覚醒促進の課題を解決でき、阻害要因は認められないとした。「容易の容易」の主張についても、第2の光源を青色・緑色とすれば当然にそのうち少なくとも一方の発光量比が増加するものであり、重畳的な構成変更には当たらないと退けた。取消事由2についても、本件審決予告と本件審決の判断内容は実質的に同一であり、再度の審決予告は不要であったとして、手続的違法性を否定した。