AI概要
【事案の概要】 厚木海軍飛行場(厚木基地)の周辺地域である神奈川県大和市、綾瀬市等及び東京都町田市に居住する原告ら8738名が、同基地を離着陸する自衛隊機及び米軍機の騒音により身体的被害や睡眠妨害、生活妨害等の精神的被害を受けているとして、国に対し、国家賠償法2条1項に基づく損害賠償(1名月額4万6000円)、人格権に基づく夜間飛行差止め及び75W超の騒音差止め、並びに米国との協議を求めた事案である。厚木基地騒音訴訟としては第5次にあたる。 【争点】 (1) 国賠法2条1項に基づく損害賠償責任の有無(違法性・受忍限度)、(2) 損害額、(3) 外国人原告に係る相互保証の有無、(4) 将来の損害賠償請求の適法性、(5) 自衛隊機に係る差止請求の適法性、(6) 米軍機に係る差止請求の適否、(7) 米国との協議請求の適法性。 【判旨】 一部認容、一部却下、一部棄却。裁判所は、厚木飛行場の使用・供用により75W以上の実勢騒音にさらされる地域の住民に対する侵害行為は社会生活上受忍すべき限度を超え、公の営造物の設置・管理の瑕疵に当たると判断した。損害賠償請求期間のうち、岩国移駐完了前(平成26年8月~平成30年3月)は本件告示コンター図上の75W以上の区域の住民に、移駐完了後(平成30年4月以降)は令和2年度分布図上の75W以上の区域の住民に賠償責任を認めた。慰謝料基準月額は75W区域5000円、80W区域1万円、85W区域1万5000円、90W区域2万円、95W区域2万5000円とし、防音工事済み住宅は10~20%減額した。自衛隊機差止請求は防衛大臣の公権力行使に係るものとして民事訴訟では不適法と却下し、米軍機差止請求は被告が米軍機の運航権限を有しないとして棄却した。米国との協議請求も不適法として却下した。将来の損害賠償請求は、騒音状況が岩国移駐により変動しており高度の蓋然性をもって継続を予測できないとして不適法と判断した。