殺人、証拠隠滅教唆、詐欺未遂、詐欺
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人Aと被告人Bは、共犯者らと共謀の上、出会い系サイトで誘い出した男性にDと性交させ、いわゆる美人局の手口で示談金名目の現金をだまし取る詐欺(未遂1件・既遂1件、被害額30万円)を行った。さらに、被告人Aは、美人局の証拠を握っている可能性のある被告人Bの実父I(当時54歳)を殺害することで証拠隠滅を図るとともにIの退職金等の獲得を企図し、架空の人物「J」になりすましてBに霊的な呪いの話を信じ込ませ、呪いを解くにはIを殺すほかないと思い込ませた。被告人Bは令和5年4月17日未明、Iの右腰背部を刺身包丁で刺して殺害した。犯行後、被告人両名は共犯者に凶器等の焼却・埋設による証拠隠滅を指示し、さらに同種の包丁を購入させて証拠偽造も行った。 【争点】 (1)被告人AがJと同一人物であるか、(2)被告人両名に殺人の共謀が認められるか、(3)被告人Bの犯行当時の責任能力。 【判旨(量刑)】 裁判所は、JのLINEアカウントの登録電話番号が被告人Aの祖母方の固定電話であること、メッセージ送信時刻に被告人Aが自身の携帯電話のテザリングや車載Wi-Fiルーターを使用していたことなどから、被告人AがJであると認定した。共謀については、被告人Aが「呪いが解けなかった」とBに伝えてI殺害を再決意させたこと、殺害後に躊躇なく証拠隠滅・偽造を主導したことなどから、殺人の共謀の成立を認めた。被告人Bの責任能力については、精神鑑定の結果、明確な精神障害はなく正常心理で説明可能とされ、完全責任能力を認定した。 量刑判断では、殺人事件が量刑の中心であるとし、背後から殺傷能力の高い包丁で身体枢要部を刺して殺害した犯行態様は極めて悪質であるとした。被告人Aは首謀者として自ら手を汚さず被告人Bを言葉巧みに誘導した点、動機が証拠隠滅と退職金獲得という利己的なものである点で犯情は顕著に悪質とした。被告人Bは実行犯として計画的に犯行に及んだものの、被告人Aに利用された側面があり、動機も呪いを解くためという思い込みによるものであることから、Aほどの悪質性はないとした。被告人Aを懲役28年(求刑30年)、被告人Bを懲役20年(求刑23年)に処した。